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  • 2014.04.04 Friday

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    原田芳雄(はらだ・よしお)さんが7月19日午前9時35分、肺炎のため東京都内の病院で死去した。

    • 2011.07.19 Tuesday
    • 21:47
     突然のことでうろたえている。
    何も言葉がない。何も浮かばない。洒落だろ、芳雄さん。
    「いやあ、うまく遊べたのかなあ、オレの人生」とか言って笑ってくださいよ。
    たまにゃ遊びなよあんたよけりゃ案内するぜ(B級パラダイス)とか唄ってさぁ。
    数日前に書いた文章をいまさらにホントになっちまったけど喪に代えてでもなんでもないけどこの場に載せておく。あんまりだよ、あんまりだ。

    ■大鹿村騒動記が封切られます。

    oshikamura


    さりげなく朝刊開いたら、阪本順治監督と原田芳雄氏がタッグをくんだ『大鹿村騒動記』が明日封切りだそうだ。
    この邦画なんて地方にはもっと遅く来るのかなと思ってた矢先の公開。
    そしてなんと1000円均一とのこと。えっどうして?
    腸閉塞に肺炎で苦しんでいるともっぱらの噂の原田芳雄選手がついに亡くなられた記念なのか・・・
    とかちょっと縁起でもないこと思ってしまいました。

    この企画は原田芳雄氏がTVドラマの制作で大鹿村の歌舞伎に魅せられてから立ち上がったものらしい。
    舞台挨拶で車椅子の原田芳雄さんは、声も出ず、
    来場者へのメッセージを共演の石橋蓮司さんが、
    「きょうはどうもありがとうございます。ゆっくりとご覧になってください。原田芳雄」と代読したという。
    なんてこった。

    人生で師と呼べる人はそうそういない。
    それも銀幕とかブラウン管の人ともなればよけいに遠くなる。
    でも原田芳雄さんはその歳に応じていろんなコトを勝手にこの自分に教えてくれた。
    71歳、そりゃ若くはないかもしれない。
    でも芳雄さん、まだ早すぎるよ。あっち行くには。もう一華も二華も咲かそうよ。

    頑張れ原田芳雄!

    スローなブギにしてくれ◆礎僂困しながら30年ぶりのウォンチュ(Want you I want you)

    • 2010.01.11 Monday
    • 12:28
    slowboogie

     藤田敏八監督『スローなブギにしてくれ』(1981)をそれこそ30年弱ぶりに観る。

    浅野温子(さち乃)がカッコいい。あの挑戦的な猫目線にしびれない男は今でもいないだろうなというくらいカッコいい。
    今はもうこの世にいない室田日出男さんとか、古尾谷雅人さんとか、伊丹十三さん、鈴木ヒロミツさん、芸能界を引退しちゃった竹田かおり嬢とかも出ている。
    これはなかなか壮観です。

    我らが原田芳雄選手は、米軍ハウスに暮らしてる謎の中年役・輝男で、ドラマがスタートしてしばらくして、夜中のジョギング中に心臓麻痺で
    あっけなく死ぬ。その死をきっかけに、ダムが決壊するみたいに、ムスタング(山崎務)と敬子(浅野裕子)というカップルの均衡が崩れ始める。このカップルの不均衡と併走して、ムスタングの離婚の話が描かれ、そして、ゴロー(古尾谷雅人)とさち乃(浅野温子)(もともと家出したのをムスタングが拾ってまたほっぽり出されてゴローに拾われる)のカップルのドラマにムスタングが入ってくる。ドラマの主人公は猫である浅野温子なのか。若いカップルが家族になる話なのか。いや、ホントの主人公は、猫を見つけきれなかった中年男=ムスタングなのだろう。彼のトモダチである輝男(原田芳雄)はとっとと一人で先にあの世に逝ってしまって、彼は捨ててきた家族に属する娘のピアノの演奏に涙し、酔い、声を荒げる。でも、そんなことをしてももう彼に帰る家はないのだ。

    昔観たとき誰に感情移入したのか忘れたか、まるで自分のような山崎務=ムスタングに過剰に反応してしまう自分にビックリした次第だった

    それと直接関係ないのだが、昔、先輩のベータムービーで映画を撮ろうという話になった。
    カメラ一台だけだよ、カット割りもくそもありゃしない。編集機材だってないんだよ。照明もないし、役者もいない。でもみんな若かったんですね。なんかの雑誌に応募を出すと何人かが集まった。高校生の女の子もいたな。
    それで脚本を書いた。夜中の大街道でもロケをした。東予国民休暇村の海岸へ下るスロープにバイクが入ってくるシーンも撮った。ちょっとコタツで覆いかぶさる程度のラブシーンもあったかな。あとは覚えていない。ああ、青春。

    ・・・だけど、肝腎な、とっても大事な恥ずかしいことを思い出した。
    別のボツ脚本とあわせると、完璧パクリ(片岡義男さんからかこの映画からか)が3つもあったのだ!!

    【その1】
    さち乃(浅野温子)が、転がり込んだゴローの部屋で色とりどりの風船ふくらましてそれに埋もれるとこ(これはまたボツ・シナリオだったが)。
    【その2】
    廃屋となりつつある福生の米軍ハウスで、さち乃(浅野温子)が壁にむかって、腐ったトマト投げて、壁にぶつかったトマトが潰れるあのシーン(どこかの海岸沿いのコンクリの壁に八百屋で買った甘ったるい完熟を過ぎた桃を主人公の女の子が投げ続け、あたりは甘酸っぱい芳香で満たされる。この世の中がこの香りで満たされてもなぁんにも変わらないだけど私は桃を投げ続けるのよ・・ってまるで橋本治先生の『桃尻娘』だな。これもボツ・シナリオの方)
    【その3】
    さち乃(浅野温子)を犯した男たちが、テレフォンボックスに彼女を降ろし、警察にダイヤルして、ほら『私は今強姦されました』ってしゃべれよ、というシーン。これどうだったかな。

    ああ、はずかしい。自分の青春のすべてがあったような、自分の恥部を観てるような、そんな感じ。
    どっちがって。映画もシナリオも全部だ。
    slowboogie2

    映画の話に戻ろう。
    男の子(ゴロー)は確かに自分のことしか考えてなく(でも若い男の子なんてみんなそうだ)、彼女を犯した相手をぼこぼこにしたらそれですべてが終わって『乾杯だよ、オレは!』となる。あんたは自分のことしか考えてないのよ 私のことなんてどうでもいいのよと怒るさち乃の傍らで。酒を飲み干す。
    中年(ムスタング)は中年で、猫(浅野温子)をまた探そうとして、別の女の子と自殺図って海に車ごと落っこちても結局自分だけが生き残っちゃって、『今度は猫いなかったよ・・』なんて毛布にくるまって震えながらいけしゃあしゃあと情けない顔で刑事に言ったりするし。
    とにかく男は全部情けなく、それが男の本質なんだろう。おいらもふくめて。

    南佳孝さんの『スローなブギにしてくれ』はそうしてみると意味深な歌詞だ。
    最近では、斉藤和義さんもカバーしているけど、まあこの映画のことを考えてたらちょっと唄いづらくなってくるね
    ウォンチュ 弱いとこを見せちまったね 強いジンのせいさ お前が欲しい・・・なんてさ。


    評価:
    コメント:ある意味で青春の全てがあった・・ことに今更気づく。

    評価:
    コメント:古い背表紙の褪せた角川文庫の中に、このドラマも今でも息づいていて自分を待っていてくくれた。

    2009/8/25

    • 2009.08.25 Tuesday
    • 19:02
     
    動脈から血が吹き出て血まみれになった一日もなんとか終わる。
    始まったものにはすべて終わりが。

    『たみおのしあわせ』(2007)を観て、肩透かしを食らって、それからいろいろ考えこむ。

    監督;岩松了、出演;オダギリ・ジョー、麻生久美子、原田芳雄、大竹しのぶ、小林薫、石田えり・・・というすごいメンバー。

    キヨシローが始終携帯電話を持った男として登場する。
    携帯を持って、割烹のお座敷からの接待中?に出てきて、他人に電話する。
    「オレをとどめときたいのなら、とどめられる話をしたらいいだろうが」
    追いかけてきた岩松了が「そんなことしてたら友達なくすよ」
    それでも残ったやつが友達だろ
    岩松あきらめて、ここにお酒持ってきてよと通路の椅子みたいなところに腰を下ろす。
    ただの携帯好きのオヤジとしての印象が、途中から徐々に変わり深みを増してゆくわけだ。

    朝から、みそ漬けの味噌床を使って、ピーナッツみそを作る。
    みそを追加し、メイプルシロップとコショウを適当に加え、飲み残しの赤ワインを入れ、弱火で加熱してゆく。
    ちょっと甘い感じのみそ。
    袋に入ったままのバターピーナッツをまな板の上に置き、すりこぎで潰して投入。
    出来上がり。
    もう一つの火口で、薄くスライスしたゴーヤをさっと塩ゆでして、そいつと混ぜて食す予定。

    松本隆さんの『はっぴいえんど』という詞ももう片っ方の頭の中でリフレインされて、
    そういえば佐野元春氏の『シンガーソングライター』に最近出ておられたなと思いだし、

    今は昔のこと 末永く暮らした桃太郎のように
    しあわせになれるという
    伽話のように はっぴいえんど
    はっぴいえんどならいいさ でも
    しあわせなんて どう終わるかじゃない
    どう始めるかだぜ
    昔も今のこと  ベンツでも乗り廻し
    二号さんでも囲えば しあわせに なれる
    という社長さんのように えらくなれたら
    えらくなれたらいいさ でも
    しあわせなんて何を持ってるかじゃない
    何を欲しがるかだぜ

    だって。

    昨夜衝動で読み始めて一気に読んでしまったBRUTUS増刊の『浦沢直樹読本』の中の、
    浦沢氏のセリフも、心を穿つ。
    この謙虚さが、プロなのだろう。

    正直なところ、僕が描こうが描くまいが世の中は変わらない。だからちょっと怠ければすぐに忘れられちゃいますよ。

    思ったことがすらすらと頭の中から出てくればいいのに、
    でもそんなにキャパがあったらつぶれてしまうだろうし、
    全く取捨選択とか、忘却とか言い得て妙だ。
    それがあるから人間嫌なことがあっても生きてけるんだろう。

    まったくな。
    コメント:たみおのしあわせはだれのしあわせなんだろう?

    評価:
    コメント:地球の上に夜がきて、はっぴいえんどにしておくれ。

    コメント:空色のクレヨンで描いた絵は永遠に流れたのだろうか。

    『野良猫ロック・暴走集団’71』by藤田敏八

    • 2007.10.30 Tuesday
    • 18:11
    評価:
    コメント:追悼・原田芳雄。


     藤田敏八・没後10周年(もうそんなになるのかぁ)ということで、
    Wowowで特集を組まれている。
    恥ずかしながらワタクシも彼の映画のファンでした。

    彼のすべての映画たちを網羅しているわけでもないけど、
    それでもえらそうに書くのだけど、
    彼の70年台映画達と向かい合うのはいささかヘビーでもあるなと思う。
    以前、自分の中に、唐突に秋吉久美子が舞い降りてきたとき、
    『赤ちょうちん』とか『バージンブルース』とか『妹』にトライしようとしたがだめだった。
    ヘビーでわびしいのである(実際には見てないので結論を出してはいけないのだが・・)。

    今回、原田芳雄選手出演ということで、
    『野良猫ロック・暴走集団'71』を観る。
    これはさすがにリアルタイムではない。だって11歳だもんな。

    新宿でヒッピー生活を送る原田芳雄さんたち(藤達也さんもいるぞ!)が、田舎に乗り込んで、
    いわゆる『旧態然とした良識勢力』と戦い、滅びてゆく映画である。
    だからといって、今観てて、勝手な理屈つけて気ままに生きるヒッピーたちに憧れるのかというと、そんなことは決してない。
    空気が白茶けちゃって乾燥しているのだ。フリーセックスも楽しそうじゃないし、マリファナも楽しそうじゃない。万引きして、好きなこと言って、笑って、罵る。権力と正反対向いてること自体が存在価値だったのかもしれない、そんな時ってあるよね、とか、書くと、誰かに怒られそうだが・・。

    物語はなぜか、急にドンパチになって急に輝き始め性急な収束に向かう。

    芳雄さんはダイナマイトに火をつけて、敵役に突っ込んでゆき、撃たれ、
    そのまま敵役に抱きついて、相手もろとも爆死を遂げる。
    骨も身も残らない。
    硝煙の匂いと焦げた肉の匂い。煙が晴れれば跡形もない。
    その直前に、ヒロインなのかどうかよくわからないままで、梶芽衣子もあっけなく撃たれて死ぬ。
    残った仲間たちも、ダイナマイト投げながら刹那に向かって走ってゆく。
    おそらく全員が爆死し、そのあとは静寂が再び地方都市に訪れるのだろう。
    そして変わることなど何一つないのだ。
    廃墟で、(親が誰かわからないという設定のヒッピーたちの)子供がひとりで、ウサギと戯れている。
    走る彼の横顔ストップモーションで終劇である。
    子供が"生"の象徴などではないことは監督自身がよく知っているのだから、
    これはアンビバレントなエンディングなのだろう。
    ペシミスティックで、投げやりに明るい、パキさん(藤田監督)らしいエンディング。

    劇中で実際演奏されるモップス(故・鈴木ヒロミツかっこいい!)の『ええじゃないか』がいい。
    ええじゃないかええじゃないか、踊る阿呆に見る阿呆どうせあほなら踊って泣いて歌って生きておどらにゃそんそんそれそれそれそれえいやさぁどっこいさぁ、ええじゃないかええじゃないか、どんどん!

    でも、どんなときも、原田芳雄はカッコいい。
    彼は役を演じる人じゃなくって、役に自分を引き寄せる決して器用とはいえない類いの役者だが、そんな時代を背負ってる人もめっきり少なくなった。

    ウォーカーズ~迷子の大人たち (出演 江口洋介、三浦友和)

    • 2007.03.01 Thursday
    • 14:21
    『ウォーカーズ・迷子の大人たち』
    というNHKのお遍路を舞台にした連続ドラマを見た。
    http://www.nhk.or.jp/drama/archives/walkers/

    それぞれの理由でお遍路に出る人々のドラマだ。

    原田芳雄がみんなを率いるもと戦場カメラマンのヒッピー風お遍路を、ぴったりはまって演じている。
    三浦友和と風吹ジュンが熟年離婚の危機を抱えた団塊世代夫婦を(風吹ジュン可愛い)、
    江口洋介がなりゆきで実家の寺を継ぐといってしまい、八十八箇所遍路に出たサラリーマンを、
    戸田菜穂が彼の恋人役を、
    その他看護師役のベッキーとか、
    息子が引きこもりになって、自殺しに遍路に来た森本レオ夫婦(夫婦とも教職という設定)とか、
    粒ぞろいキャラのドラマだ。

    おもしろく、やがて、考えさせられる。

    考えるために、ただ、ただ、歩く。
    同行二人。一人ではない。いつも悩む空海がともにいる。
    障子に書かれた山頭火の歌。

    蜘蛛は網を張る、私は私を肯定する。

    歩く。ただ、歩く。

    『ノルウェイの森』のワタナベトオルとナオコもただただ歩いた。

    ナースという設定のベッキーの言葉(ちょっと脚色しましたが・・)が沁みる。

    看護師として患者さんのいろんなシモの世話をしたり
    注射したり、採血したり、そんなこと特別でもなんでもないのよ。
    ある日、わたし、昔とっても仲の良かった子の受け持ちになったの、
    いろいろ世話したわ、夜勤じゃないときも勤務かわってもらったり、病室なのに電気消してずっとおしゃべりしたり、
    その子が2ヶ月くらいで死んじゃったとき、
    わたしビックリするくらいワンワン泣いたわ。

    その次の朝、いつものように病院の玄関をくぐった。
    そのとき気づいた。
    銀行の人がお札を数え終わったみたいに、
    わたし、彼女のことすっかり忘れてたのに。

    それはそれで恥ずべきことではないと思う。
    いつまでも引きずってたって次から次に病気の人はやってくるし、
    新しい病人は新しい疾病と悩みとトラブルをしょってくるから。
    でも、そんな自分が納得できなかった。
    だから、私、普通の笑顔とか泣き顔を取り戻したくなったんだ。
    それで遍路に出たの。

    うーん。
    ちょっとこじつけっぽい気もするけど、

    自分が自分であることを再確認する時間をとることは確かに必要である。
    そしてそれは、再び日常に戻ってゆくステップであるべきなんだと思う。
    ずっとお遍路やら旅行やら自分探しをするんじゃないんだよ。
    自分のフィールドに戻って再び戦い始めるために必要な儀式であるなら、
    それは必要なことだ。

    時間は有限で、
    人生も有限で、そんでもってちょっとお疲れ。

    ありがとありました(2)

    • 2006.04.13 Thursday
    • 13:46
    美しい夏 キリシマ
    美しい夏 キリシマ

    TVの画面に宮沢りえちゃんが映し出されているなあと、ぼんやり観ていると、
    黒木和雄監督死去のニュースだった。
    75歳。脳梗塞。
    最新作の『紙谷悦子の青春』を撮り終えたところだったらしい。

    以前のblogにも書いたが、彼のこだわった戦争は、静かで恐ろしく心の闇に忍び込んでくる。
    『キリシマ』『父と暮らせば』『TOMORROW(未見)』。

    こうやって書きだしてみると原田芳雄とのタッグがいかに多いかがわかる。

    『竜馬暗殺』(若き松田優作や、桃井かおりも出演しているぎらぎらしたモノクロ映画だった)
    『祭りの準備』(ラストシーンのバンザイには胸が熱くなる)
    『浪人街』(この映画については賛否両論あるだろうけど、勝新と原田芳雄と樋口可南子が出ているというのはすごいと思いませんか?)
    『スリ』(このあたりから原田芳雄選手も無軌道かつハードボイルド路線にはもう戻らんのだなあと実感できる、かつ、また黒木和雄10年ぶりの監督作品であったそうな)
    『美しい夏・キリシマ』
    『父と暮らせば』


    こうして書いてみると、原田芳雄選手に寄り添って映画を観ているのだけど、
    僕の中では有意識的ではないが黒木監督とのつきあいも結構長かったのかもしれない。

    http://www.yidff.jp/docbox/18/box18-1-1.html

    ありがとありました

    • 2006.03.25 Saturday
    • 19:00
    父と暮せば 通常版
    父と暮せば 通常版

    去年購入した『父と暮せば』をようやくみる。

    宮沢りえってなんて清楚な感じなのだろう。
    原田芳雄選手はともかく、この二人の存在感だけで成り立っている戯曲のような映画だった。

    黒木和雄監督は、『美しい夏キリシマ』でも淡々と反戦を描いた。
    この『父と暮せば』はもっと直接的で、我々の心の琴線に深く柔らかにしみいってきて、
    日本人なら誰しも持っているものをそっと、優しく、でもこじ開けてゆく。

    アウシュビッツ。9.11。イラン・イラク。そして別名でいう、大東亜戦争。
    そして、広島の空を覆ったキノコ雲と熱い熱量のシャワー。
    戦争はどこにでもある。
    思えばローマの時代からヒトはヒトを殺し、略奪と残虐の限りを尽くしてきた。

    そういえばサルの子殺しの瞬間をとらえた写真が最近新聞に載っていた。

    人間は何でも殺せる。
    他人も自分も、自分の血の繋がった者達も。容赦なく。完膚無きまでに。
    時には種を絶とうと考える輩もいるという徹底ぶりだ。

    果たして、その同じ人間が、血まみれた手で誰かを愛おしく抱きしめることができるのか。

    昔、平井和正の『ウルフガイ』シリーズを読みながら、高校生の僕は思ったものだ。
    無理だ、と。

    でも、血まみれた手で、地まみれた星の上で、共に回り続けていても、
    ぼくらは誰かを愛することができるし、
    誰かを抱きしめることができるのだろう。

    宮沢りえのラストのセリフ、
    「おとったん、ありがとありました」
    そのせりふを彼女が語るまでの限りないディスタンスを、
    そっと時には、
    せめてこのフィルムが映し出されているその闇の中でくらい
    噛みしめよう。


    http://www.pal-ep.com/father/

    朝日は昇るよ 少しずつだけどね (ディラン供

    • 2006.03.02 Thursday
    • 17:07
    きのうの思い出に別れをつげるんだもの
    きのうの思い出に別れをつげるんだもの

    オーディオルームにこもって、ディラン兇痢悗のうの想い出に別れをつげるんだもの』という1stアルバムをかける。
    中島らもも、刑務所で格子越しに昇る朝日に思い出したという、
    ボブ・ディランの”I shall be released”のカバー『男らしいってわかるかい』が聴きたくなったのだ。

    朝日は昇るよ 少しずつだけどね
    その時 その時 生まれかわるんだ・・


    そのCDの中に、『プカプカ』も収録されていた。
    このアルバムでのボーカルは、大塚まさじだ。
    解説によると、作者の西岡恭蔵氏(故人)のソロにも収録されているらしい。

    オレのあんこはスゥイングが好きで
    いつもドゥビドゥヒドゥ・・


    ボクがこの曲を知ったのはおそらくあの愛らしい桃井かおり嬢(遠い昔)の『若いこだま』(だっただろうか?)かなんかでだったと思う。
    (こづかい貯めて、彼女の2枚組のライブLP買った記憶が蘇った)
    彼女自身の唄ったけだるい感じのものも確かあったはずだし、
    かの原田芳雄選手の泥臭い『プカプカ』もあれば、
    最近ではURCカバーズにおける大西ユカリさんの唄い方は岩にしみいるセミの声だった。
    (このURCカバーズのCDは、ほかにもキヨシローとか、夏木マリとか、なぎらけんいちのセルフカバーとか収録されていて素晴らしい。是非御一聴を。)

    Discover URC

    誰の心にもそれぞれの『プカプカ』があり、
    意地悪ないい方をすれば、その傾向にはなんか似通ったようなものがあるとも言えるが、
    結論から言うと、この唄が作られてから数十年たっても、その世界はそれはそれは苦く心地よいものだ、ということだ。

    サーカスにはピエロがお似合いだから
    だってきのうの想い出に別れをつげるのだから・・・


    とかも絶品である。

    なんかせわしい日々である。

    ベイダー卿の憂鬱

    • 2005.09.10 Saturday
    • 14:26
    STAR WARSエピソード3シスの復讐写真集
    STAR WARSエピソード3シスの復讐写真集

    『Starwars』の円環が閉じた。
    膨大なエピソードのあいまあいまに流れる物語は、アニメとかスピン・オフと呼ばれる小説群で補完されているようだが、
    とにもかくにも1970年代に始まった壮大なサーガは30年くらいかかって一応完結した。
    それだけでも感慨深い。
    あのepisode4を、高校生のボクはラッキーなことに彼女と行ったのだろうか、それとも野郎ばっかで観たのだったか、
    それすらも思い出せない。
    全ては現実で全てはうつろな夢で、A long time ago,far galaxy.....での出来事にしか過ぎぬのかもしれない。.

    映画が始まり、後半戦に入り、
    4-5-6からさかのぼって1-2の流れが、ダースベーダーの誕生を予感させるようになったとき、
    原田芳雄選手の『ニューヨーク漂流』という唄のフレーズをなぜか思い出した。
    オレがここで死んで
    白い墓が一つ残ったとしてもそれはそれ・・というニュアンスのものだ。

    生命は生まれ滅び、憎しみや愛や、悪や陰謀や、戦争や創造は連鎖してゆく。
    そう、この物語は、銀河を永遠に見続ける2体のロボットC3POとR2D2の物語でもあるのだ。
    死なないロボットたちは壊れるまで銀河の歴史を見て記録し続けるだろう。
    若かったパドメやアナキンの愛から、ダースベーダーの憂鬱と孤独まで。

    ビルが倒壊し、スペースシップは火を噴く。
    貿易センタービルの崩壊の動画はきっと今のこの世界に生息する人たちにはデジャブとなったことだろう。
    最近読んだ、村上龍『半島を出よ』のホークホテルの倒壊シーンを思う。
    ブンガクが映像に拮抗するために、龍氏はあれだけの圧倒的な描写とディテールの積み重ねを必要とした。
    しかしリアリティとイマジネーションとのボーダーは薄れ、
    見たことのないものを、ああ、あの映像はと納得してしまう・・
    まさに現在ならではの映像に対する感覚に麻痺しがちになることは否めない。

    アイスピックで刺された腕は痛いし血も出る。
    ペニスにできたヘルペス潰瘍は膿を出し、異様に痛む。
    その感覚を思い出してキンタマを縮み上がらせてる限りallrightだ。
    忘れるな、痛みを。麻痺するな、映像に。


    何も確実なものはない。
    滅びるものは滅び、それでも人はバベルの塔を築くだろう。
    代は変わり、為政者は変わろうとも。
    ダースベイダーは一体誰に許してもらったのか?
    息子に、娘に、自分自身に?
    許されることを必要するということそのものが罪なのなら、やはり生きているということは罪なのか。

    人はなぜ暗黒面に惹かれてゆくのか。
    映画が公開されるまでずっとそのことを考えていた。

    答えは・・いまだない。

    べーダー卿の憂鬱は、息子に殺されることで軽減しただろうか。



    修羅雪姫(1973)

    • 2005.07.27 Wednesday
    • 08:17
    修羅雪姫
    修羅雪姫

    タランティーノの『キル・ビル』もDVDも出回って落ち着いた感じだろうか。
    振り返ると偉大なる復讐の物語が最後に愛の物語だったとかいう2作目よりは、
    個人的にはわけわからずビジュアル的に殺戮に徹したvol1の方に軍配が上がる。
    そのvol1でヤクザの女親分・オーレンイシイの元ネタになったのが、この『修羅雪姫』である。

    梶芽衣子かっこよすぎ。
    ・・というかタランティーノパクリまくり。
    そういうわけで『キルビル』観てからこの『修羅雪姫』観ると2倍楽しめる。

    『修羅雪姫』は、惜しくも肝臓癌で亡くなってしまった藤田敏八監督の1973年東宝作品である。
    画面のトーンは73年の邦画だから当然暗いのだけど、
    雪(梶芽衣子)は容赦なく敵を切り捨て、これまた容赦なく血のりどぴゅーっと飛んで、腕がもげたり、首吊ってるおばさ(悪役)んの胴体真っ二つにしたりと・・まさに劇画的演出。それに江戸の戯作的演出がマッチしている。
    最後にどんちょうが被さるところは鈴木清順かと思った。
    (ちなみに藤田敏八監督は役者としても活躍しており、清順監督の『ツィゴイネルワイゼン』では主役も務めた)

    ・・・みていると、思い出した。

    オレこの映画、京都で浪人してるときに観てる!

    名画座の半オールナイトみたいな中の1本。
    白い着物の梶芽衣子が細い刃を振り、人体から噴き出す血がこんなに飛んでもいいのかと思った。
    あれが修羅の子、修羅雪姫だったのだ。



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