口八丁とはよく言ったものだ。たしかにこの稼業、手も体も動かしてるし、脳みそも使ってる。
でもなんのかんのいって直接のインターフェイスは口なんだ。
患者さんと向い合って、口で喋り、説明を絵に書いて、それをまた口で補足しながら説明する。
処方もする、処置もする。
その繰り返し。
だから、診察がなんかショボイトークでは、お互いにメートルも上がらないというものだ。
朝起きたらまた喉の奥に何かが張り付いた感じで声が出なかった。
おもいっきり粘調な痰を排出するが、また喉はイガイガの繰り返しだ。
しゃべると咳が出る。しゃべりたくない。しゃべらないと仕事にもなんにもならない。
口八丁というのは多分本来のものはあんまりいい言い回しではないと思うのだが、口八丁、とっても大事だと思う。
無敵にしゃべれる口がこんなに欲しいと思うこともない。
ああ、それにしても今回の風邪はちょっと長すぎるな。
37.2度。全身倦怠感。ものの味はしない。
泉谷しげるの唄にそんな微熱を歌ったのがあったよな。ああ、ありゃもっと高熱の『39度8分』でした。
このあたりの泉谷のバンドは、ドラム鈴木さえ子・ギター仲井戸麗市・ベース言わずと知れた吉田健てなちょっと変わったラインナップだったっけ。
最後は、(お前の)悪意にとどめをさせ!みたいな感じだったかなあ。
味気ない舌と回らない脳みそでやっと思いついたのがポテトサラダで、そいつだけを何とか作る。
あとはいなりずしとか味の濃いもんなら喉通るかなと思って買うが、今ひとつ。
水菜のサラダも、普段だったら普通に感じるドレッシングが異常にしょっぱい。
なんとかコロッケももったりした味だ。
その中でポテトサラダだけが優しく、喉を通って胃袋まで落ちてゆくのでした。
家に帰ってLP探し出しました。
39"8' すべてが曲がる
39"8' 大げさに騒ぐ
39"8' 君になおして欲しいぜ
39"8' ただの風邪めが
37.2度の微熱中年なんて誰も欲しがらない。とどめを刺せ!