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    スカダーという隣人

    • 2007.01.29 Monday
    • 17:44
    評価:
    ローレンス ブロック
    二見書房
    ¥ 2,205
    (2006-12)
    Everyday I write the book.

    エルヴィス・コステロの歌にそんなのがあった。
    たぶんラブソングだ。
    いつの時代も最後のメッセージはラブソングであって欲しい。
    このところ毎日、自分に向けてメールしている。
    無人島から、顔の見えない親しいくそったれの友人に当てた、あるいは壁の中から壁の外に向けて書いているみたいだ。
    それがラブソングになるといい。

    週末は、マット・スカダー最新作『すべては死にゆく』を、読み続けた。
    翌日に持ち越し、昼前に読み終える。

    ふぅ〜、と、ため息。

    スカダーももう68歳だそうだ。
    昔のように、悩み、悩むそのこと自体に悩むシーンは減った。
    彼はもうアルコールに手を伸ばさないし、エレインと結婚だってしている。
    習慣のようにAAの集会に行き、十分の一税も納めている。
    でも、警察を辞めて、私立探偵の免許を返しても、やっていること自体はあまり変わらない。

    この話でもうスカダー・シリーズは終わりなのかもしれない、と、訳者の田口さんは書かれている。
    もう十分じゃないか、お前もがんばったよ、、
    そう作者は考えてるんじゃないんだろうか、みたいな感じかな。

    スカダーはいつもオレの横にいたわけではない。

    でも、贖罪をしょいつづけながら、
    アルコールに手を伸ばすことをやめてからも、
    あるときは血で手を汚しながらも、
    あるときは誰かの頭をぶち抜いても、
    何十年も俺のいる世界の傍らで、
    架空の世界の中ですらツインタワーの滅びたあの街で、
    生き続けてきたんだ。

    俺の生きる現実世界。
    それだってあと何十年かしたら幕引きだ。
    うまく幕を引けるかどうかなんて誰もわかりゃしない。

    それに、
    オレもいつも何かを抽象的に考えるわけじゃない。普段俺の考えてることなんて卑近なことだ。
    このビジネスの売り上げとか、給与のこととか、職員のこととか、それに伴う人間関係のこととか、労務のこととか、入院のこととか、
    医療業界のこととか、泌尿器科疾患のこととか、医局のこととか、透析のこととか、
    ・・・仕事で99%を占められたちっぽけな脳みそ。

    でも、時折、スカダーを読む。
    死について、暴力について、生きてゆくということについて、
    ムラカミハルキとはまた違った形で、彼の呻吟する舞台を読む。

    専門医の更新

    • 2007.01.13 Saturday
    • 15:14
    サツマイモのスライスを作るときに一緒に飛ばしてしまった左手の人差し指も、ずいぶん上皮化が進んできた。
    キーボード打ってても痛くなくなってきたし、マリオもできる。

    数ヶ月前に同様の患者さんがいて、いくら圧迫しても止血できず、
    電気メスで凝固したことを思い出す。ありゃ痛かっただろうな。

    正月にシコシコやっていた、専門医・指導医更新書類をほぼ書き上げる。
    続きを読む >>

    伊勢正三の唄たち

    • 2007.01.11 Thursday
    • 16:42
    オール・ザ・ベスト
    オール・ザ・ベスト


    風の『あの唄はもう唄わないのですか』を突然聴きたくなる。
    感傷的な歌だ。

    坂の途中の小さな店で出会った、シンガーソングライターの男と、女は恋をする。
    そして暮らしがあり、別れがあった。
    彼はそこそこ有名になりコンサートも開いている。
    彼には告げずに、去年も彼女はコンサートの一番後ろの席で、彼の歌を聞いた。
    そして今年も、彼女は彼のコンサートに行く。
    私のために作ったとあなたの言ったあの歌を
    もう一度私のために歌ってくれませんか、と願いつつ・・。

    ホラーみたいだが、そんなのありだったんだ。

    おいらの心にも残っていたそのくだらないセンチメンタリズムが
    フツフツと湧き上がってきて、
    不肖にも、抑制が効かなくなった。
    そして俺は泣きそうな気分になっていた。

    だって、君のこと好きだったんだもん。
    そうそう忘れられないよ。

    正やん(伊勢正三)の歌って過剰なセンチメンタリズム(女々しさ?)もあるのに、けっこう突き放したものもある。
    好まれるのは当然前者で、『22才の別れ』とかって、我々の世代にとっては魂に染み付いて、洗っても落とせないくらいになっている。
    17本目のろうそくから一緒に火をつけてこれが君の人生とか言っちゃっうんだよな。ヲイヲイ。
    修学旅行とかでみんなで唄ってうっとりしてたけど、今から思えばけっこうグロい。
    『北国列車』『あいつ』『海岸通り』『星空』『お前だけが』。

    でもやっぱり忘れられない。
    身体に染み付いたものをそう簡単に落とすことは出来ない。
    だから無傷に時々聴きたくなるんだ。

    CDに収録されていた『ささやかなこの人生』のフレーズは今でもけっこう新鮮に響いた。
    (以下引用)

    花びらが散った後の桜がとても冷たくされるように
    誰にも心の片隅に見せたくはないものがあるよね

    だけど人を愛したら誰でも心の扉を閉め忘れては
    傷つきそして傷つけて引き返す事の出来ない人生に気がつく

    優しかった恋人達よ振り返るのはやめよう
    時の流れを背中に感じて夕焼けに涙すればいい


    かぐや姫に『好きだった人』という正やんの歌がある。
    シンプルな循環コードの繰り返しで成立したまさにフォークという曲だが、
    これも時々聴きたくなる。

    今度、"M-06" で弾いてみようか。

    弾いて歌えるDSギター
    弾いて歌えるDSギター"M-06"


    日常が押し寄せてきた。

    • 2007.01.06 Saturday
    • 15:18
    エディプスの恋人
    エディプスの恋人
    筒井 康隆

    筒井康隆『エディプスの恋人』3日かけて読み終える。
    七瀬シリーズ三部作の最終巻である。

    人間の実在とはいったい何なのか、現実とは?
    肉体に縛られているこの矮小な人間存在の現実は、やはり肉体に帰依するのだ。
    そう、筒井は筆を進めておきながらも、
    だからこのリアルな人生を生きていくことが大事なんだ、などという展開には決してしない。
    七瀬は、自分の思って生きている現実が、実は神の意思によって想定されたものだという疑念をほぼ確信に近いレベルにまで高めながらも、自分のロールプレイングゲームの中でのパート=エディプスの恋人という役割 に帰っていくことを決意する。
    2作目からのパラレルワールドのような展開も望めたのに、作者はすっぱりきっぱりと、この話で七瀬シリーズに幕を下ろしたのだ。

    きっと『七瀬シリーズ』に人気があるのは、映像化作品も手を貸しているのだと思う。
    NHKでやってた多岐川由美のものは自分も若い頃見てときめいたものだ。
    ナナセサン ワタシハアナタノサンビシャデス
    そのイメージが顕著なのが、第2作の『七瀬ふたたび』であり、
    それが残念ながら七瀬シリーズをある程度規定しているのであろう。

    そういえば、新聞の広告で見たのだが、
    『サイボーグ009』の最終章がたぶん石森氏の息子さんの手で上梓される様だ。
    神との戦い扁だったと思う。
    2012 009 conclusion GOD’S WAR―サイボーグ009完結編〈1(first)〉
    2012 009 conclusion GOD’S WAR―サイボーグ009完結編〈1(first)〉
    故・石ノ森 章太郎氏がキカイダーで描ききろうとした終末に向かって、
    サイボーグ戦士たちも神との戦いで進むのだろうか。

    現在進行形の『プルートゥ』でも、
    人間と人間と似て非なるもの(ロボット)の境界線はますますコンフューズしている。

    PLUTO 4―鉄腕アトム「地上最大のロボット」より (4)
    PLUTO 4―鉄腕アトム「地上最大のロボット」より (4)

    人間と人間に似せて作られそれとは違うもの、
    創造主と創造物、
    人間とロボット、

    現実に開発が進んでいるガンダム型リハビリスーツ、
    人工臓器、
    議論はどこに向かうのか謎の延命医療の法制化にむけて、

    何が人間存在を人間存在として規定しており、
    なにゆえに人間は霊長類の頂点に君臨してきて、今も果たして君臨しているのか?

    リアルを探すことはますますムツかしくなっている。

    だから、山から転落したり、酔って歯を欠けさせたりするんだろう(ウソ)。

    医療の終末点はもしかしたら『死』なのかもしれない。
    ただし、それに向かう過程にこそgood things,bad things含めて存在するのだと信じたい。
    昏迷は常に我が裡で、暗闇も常に隣でオレの袖を引っ張っている。

    トリコモナスの論文を斜め読みする。

    • 2007.01.03 Wednesday
    • 12:02
    あけましておめでとうございます。
    病院は4日からなのだが、業務は1日を除いて続行中であり、イベント続出中である。たまっていた文献とか、書類とか、毎年途中で終わってしまうことどもをシコシコしている。

    Failure to detect urethral Trichomonas vaginalis in Japanese men with or without urethritis.
    SHIN-ICHI MAEDA,et al.Int.Journal of Urology(2006)13,1418-1420.


    日本人男性のトリコモナス尿道炎の罹患率の論文である。

    男性のSTDで最も頻度の高いのは尿道炎である。
    女性のトリコモナス腟炎から伝播した、わが国の男性におけるトリコモナス尿道炎(症候性・無症候性)の罹患率を調べた。

    100名の男性が対象である。
    66名は尿道炎症状を有していた(16-65、平均24歳)(淋菌性28、非淋菌性38)。
    29名は無症状でSTDスクリーニング受診し尿沈渣に異常はなかった(18-50、平均26歳)(クラミジア陽性1、病原体陰性28)。
    残りの5名は他のSTD(ヘルペス等)であった。
    しかしながら、前2者で、いずれもトリコモナスは陰性であった。

    アメリカでは、有症状患者の10-30%がトリコモナス陽性で、成人女性の2.8%にあたるとされている。
    ある研究では日本人女性では、11.3%/人口10万とされており、また別のデータでは、コマーシャルセックスワーカー171名でトリコモナスは検出されなかったとのことである。
    つま日本人女性の罹患頻度は低いということであり、それが日本人男性でのトリコモナス罹患率も低いという結果になったのだろうという結論である。

    つまり何が言いたいのかわからなくなってきたが、
    STDはいろいろあって裾野が拡がってるよなあということなのである。
    トリコモナスに罹患しているとHIVのリスクもあがるというようなことも書かれていたが、
    これってクラミジアでも似たようなことが言われている。
    つまりそういうことなのだ。

    知らないことは、はっきりいってSTDの世界でも罪とみなされるんだろう、な。
    彼氏を、彼女を信じるとか何とかいう前段階の世界に向けて、世界は急速加速中なのである。

    その後で、米疾病管理センター(CDC)によるSTD新規ガイドラインの概要を読んだのだが、これが複雑過ぎて実感わかない。

    ・性的暴行後の予防法とか、妊娠に至る可能性がある場合の緊急避妊薬の使用とか、
    ・膣トリコモナス症に対する新規抗微生物薬としてのメトロニダゾール2g単回投与とか、
    ・男性と性交を行う男性における性病性リンパ肉芽腫性直腸結腸炎に対するセフトリアキソン125mg筋注とか、

    ・・・いやいや。なんか怖すぎます。

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