修羅雪姫 怨み恋歌
『修羅雪姫』第2弾、『修羅雪姫 怨み恋歌 』(1974)。
前作の翌年の作品で、時代設定は明治時代の終焉である。
日露戦争に勝った日本のなんかダークな面と修羅の道が合致して、
いずれにしてもそれらは滅び行く方向のものとして描かれているのが興味深い。
70年代はまた別の暗黒面(ダーク・フォース)に満ちている。
007(ロジャームーアの頃の)に出てきたジョーズみたいな悪役が出てくる。
明治時代なのでシルクハットに黒マントなのだが、こいつがおたふくの面を被って雪の乗った死刑台に導かれてゆく馬車を略奪する。
ちょっとジョージ秋山の漫画みたいなのである。
そこで修羅雪は命の保証と交換に、無政府主義者の密偵になることを引き受けるのだが・・。
この化け物男は鎖でぐるぐる巻きにされても、自分の手首を斧で切り落として脱出したりする。
ろくなセリフを与えられずに(わざとだろうけど)ウーとかアーとかいうのみでにたあっと笑うので余計に気味悪い。
修羅雪姫と密約を結ぶのが岸田森(懐かしの『怪奇大作戦』)演じる特高警察長官である。
そのころは実際の役者さんとしてもまだ若いはずなのにやっぱり恐い。
続いて、我らが原田芳雄選手が、もうモロそのものという役で、登場。
べたべたの背景をしょって、画面にどんよりぶら下がる。
一応医者の役なのだが、
ペストに犯されながらも、修羅雪と敵にとどめを刺して、
最後にはきっちり恋相手(?)の梶芽衣子にとどめを刺してもらう。
ここだけは前作雪キャラの容赦無用・涙は隠してスピリットがきっちり踏襲されていたように思う。
それにしてもペスト菌の人体生注入とか
貧民くつの焼き討ちとか、
拷問シーンとか、
岸田森の「お前らみんなキチ*イだ」にしても、なんかこれでもありかって感じだ。
で、明治は終焉を迎える。
修羅雪は生き延びるのだろう。
そして我々はもっと狂った世界に今も生き続けている。
修羅は捨てられることなく、どこへ受け継がれるのだろうか。