気分はそうでもないのに、まわりから年末年末と挨拶されたりすると、あまのじゃくがうずき始める。
先生は患者さんがいるんだからいつでもいなくっちゃあと言われ、はあ、と、遠い返事をする。
臨戦状態でいたいんだけど、そう長くは続かないんだよねえ。
以前、泌尿器科医会で発表されたと思う、
愛媛大学泌尿器科の雄”尾澤 彰”先生(彼は3月までうちにアルバイトにきてくれていた)の論文が『愛媛医学』に掲載されている。
『前立腺生検の現状 −愛媛県泌尿器科医に対して行ったアンケートをもとに−』というものである。
前立腺癌の正確な診断のために施行する(主に肛門から)前立腺針生検の愛媛県での実際を浮き彫りにしたものである。
こういうのってなかなか一本化してガイドラインまで到達しにくいんだけど、
実際の現場では、各施設間で結構差があって面白かった。
そういえばあの会でも、がんセンターの住吉先生の一人舞台だったような気がするなあ。
でも、あの会から以降、自分も肛門に挿入するガーゼは1枚にした。
これはこの会に参加して、出血のリスクを過大評価しすぎていたことを、エビデンスに基づいてあらためたものである。
でも、忌まわしい記憶があるから、術前術後の抗生剤投与はエビデンスからはずれて結構使用している。
尾澤先生が考察に引用しているように、発熱は検査当日よりもむしろ翌日の午後以降に認められることが多い、・・なんてことも少し気になったりもしたもんで。
まあ、基本的に、経直腸的で6カ所の生検がスタンダードということになったのだけど。
今年も、うちの病院でも結構、PSAで引っかけて、生検で前立腺癌が見つかるケースが多かった。
頻尿とかの尿路症状で、泌尿器科を受診し、ついでにPSAを測定させていただく。
その結果で異常値となり、さらに疑わしい人たちには生検を勧める。
結果はさまざまだが、
泌尿器科の専門医として、少しでも地域医療の役に立てることを実感する場合もある。
なかなかブラックジャックにはなれないけど、ね。