在宅血液透析というものがある。文字通り、自分の家で血液透析をするというもの。水道水から軟水を作りROモジュールを介して透析液を作る。その装置が自宅にでんと設置されている。
回路をプライミングして、準備し、自分あるいは介護者が穿刺して、通常どおりの血液透析を施行する。回収もしかり。
消耗品であるダイアライザーや回路は宅急便で送られてくる。透析のスケジュールはある程度患者任せ。病院受診は月一回くらいなのかなあ。
名古屋の新生会が中心でやっているという話を聞いたくらい、また今年度の改訂で点数が上がったという話も。
そのぐらいの前知識で、実際の患者さんが語る話だから面白そうだな、時間間に合えば、と、高速バス→三宮→ポートライナーで国際会議場へ直行してかけつけて聴いた話。
『患者が語る在宅血液透析の最前線』。
ホント、タイトルに引かれてなんとなく選んだのだが、演者は自ら透析歴23年2ヶ月の強者、古薗勉先生だった。
先生は臨床工学技士もされていて(腎不全で就職出来ず、止むに止まれぬ理由で臨床工学士として働き始めたそうだが)、
現在工学部教授なのだが、そこにいたるまでの紆余曲折はすごいものだったらしい。
腹膜透析から血液透析に戻し、無尿になってからガタッと気力体力ともに弱り、一般血液透析のみの生活では最先端では戦えない、しんどすぎる。
で、リタイヤを考えていて、最終的に在宅透析を選択して大復活を遂げたとのこと。
そして、リタイヤ一転、教授選挙に打って出たとのこと。
2008年3月から芦屋の坂井瑠実クリニックの先生を主治医に在宅透析を始めたのだが、ほぼ自分だけですべての業務をこなし、3hr/day連日透析をしており、在宅透析にEnergy(命の炎)をもらったとのこと
(これから以降は、Energyの訳は絶対に誰が何と言おうと”命の炎です”よ、と強くおっしゃられていた)。
在宅透析を始めるにあたって、坂井先生との約束は、2日空きを作らない・17.5時間以上する・無理しない(途中で回路凝固したらその時点でもうやめてしまうとか)だった。
一般的にわが国の透析基準(?)でも4時間週3回ということなので12時間だから、まあやっぱり透析量も多いと言えよう。
そして毎日少しずつの透析なので、負担は少なく、自然の腎臓により近い構成でもある。
自らのデータは、前のリンが4.5後は2.0とのこと(この前値がバリバリ食ってて4というのはすごいかも)。
体重も増えても1kgくらいなので逆に全然しんどくない。降圧剤も多種飲んでいたのがゼロになった。と。
現在日本での在宅血液透析は200人強。先生は自分で穿刺補助具も考案して実際それを使っている様子を収めたDVD(7分)も作成しておられる。
そして、その話だけでも十分なインパクトだったのに、最後に先生はこう言われた。
在宅透析のメリットは、それを行うことによってバリバリ働ける→社会貢献する→それはすなわち国に税金をいっぱい収めること。そう先生は断言された。
この部分、非常に納得しました!
税金を取られる側としていつも苦汁を舐めているのだが、たしかに税金払えるって事自体は国家に貢献していることであり、そのために医療があるというのは、これは目から鱗の意見だし、説得力あるわな。
まあこの論調を進めていくと批判的要素も出てくるのでこのあたりにしとくけど、たしかにgive&giveからgive&takeの医療形態に変換できりゃすごいと思います。
今まで世の中に貢献してたんだから、十分な医療を受けて生きながらえるだけで十分という論点も決して間違いではないが、
そこを一歩抜けて、受けてきた医療を世間に具体的な形として還元出来れば、被医療者にとっても絶大なるモチベーションとなりうるだろうし。
そんなことを考えた。
想像もできませんです。
透析室まで降りられない患者さんが、
病室で透析するだけでもスゴイなぁと思うのに。
薄識で…。
まあ、透析患者時代を共に過ごしてきて、移植して元気になった方を外来で見るときに沸き上がる感情に似てましたか。
病室透析ですか。たしかに、高齢透析患者の占める割合が増しているので、ほんとうちの透析室の将来もどうなっていくんだろうという感じです。
先日は、コメントのお返事ありがとうございました。
ついにわたしも「えいっ!」と、
長〜い、コメント書いて、
最後に段階になってチェックしようとして、クイックしたら
「ひぇ〜」
消 え ま し た。
これで、二回目で、
自分の愚かさにあきれています。
在宅透析の話、
っぅうううううう。
QOLが高まりますね。
「患者が語る在宅血液透析の最前線」は、演題でしょうが、本がありましたら、読んでみたいです。
また、このお話、状況によっては、
夏休みの課題に使えるかもしれないです。
また元気出して書きますね。