君はウブレチド派かベサコリン派か?
・・などと大げさに振りかぶってみるが、現時点で排尿筋の収縮力にかかわる薬はこのくらいしかない。
この数年で抗コリン剤の新薬が一気に開発された経緯を考えると、早晩、こちらに作用する薬も開発されるはずだ。
というわけで、原三信病院の武井先生の『ウブレチド』の話を読む。(医薬の門2008(152);pp46-52)
現在進行中の『えひめ排泄ケア』の『排尿障害の基礎知識』なる文章の中にも、排尿筋低活動のことをチラッと入れてみた。
よくよくあたりを見回すに、原因不明で、排尿筋の収縮期能が低下しているヒトって思いのほかいるものだ。
たとえば、前立腺肥大症と診断して手術をしてもいまひとつ残尿等が改善しない。手術失敗したんじゃないのか、という、アレである。
そういった人には出口部閉塞以外に、排尿筋低活動が合併している。
それを未然に捉える手段として、術前のPFS(Pressure-Flow Study)という検査がある。しかし、それを施行している施設は少ないはずだ。
(PFS;排尿時の膀胱内圧と尿流量を同時に測定することにより、膀胱出口部における閉塞の有無や、排尿筋収縮力を評価する検査。)
武井先生のデータによると、前立腺肥大で手術を受ける症例の35%に排尿筋低活動を認めたとのこと(著しい低下は1%とのこと)。
女性の尿失禁とか、骨盤臓器脱でも、合併例が結構あるとのことだ。
最近流行の過活動膀胱(OAB)だが、これは排尿筋の過活動が疑われる疾患である
(例えホンモノの過活動がなくても、あっと思ったらもう我慢できないで尿意のピークを迎えるという臨牀症状で判断可能な疾患なのだが)。
だから、排尿筋低活動なんて考えにくいのだが、蓄尿時に膀胱が過敏になるくせに、排尿時には実は絞る力はない・・というのは臨床上はよく見られるものである。
だから膀胱出口部の緊張を弱めるため、αブロッカーを使いながら、膀胱の過活動を緩和するため、少量の抗コリン剤を用いるなんて治療になったりする。これを理解しないで、尿意切迫感に対して抗コリンのみをどんどん使っていると、尿閉になったり、残尿のため尿路感染が治らないということになったりするので注意が必要だ。
・・・こればっかり書いてるなあ。
排尿筋の収縮力を増すクスリとして臨床上用いられるのが、ベサコリン散とウブレチドだ。
排尿筋収縮低下では、シナプスからのアセチルコリン放出が減っているために、
アセチルコリンを補う意味でベサコリン散を投与するか、
アセチルコリンの分解を抑制するために、コリンエステラーゼ阻害剤であるウブレチドを投与するか、
はたまた2者を併用するかといった選択となってくる。
武井先生はこう書かれている。
薬理作用からみて排尿筋収縮が全くない例にはベサネコール(ベサコリン散)、
収縮はあるが低下している例にはジスチグミン臭化物(ウブレチド)を用いるのが妥当と考えている。
また、
排尿という行為はいつもするものではないので、
常時アセチルコリンを補うベサコリン散よりも、
排尿しようと思ってアセチルコリンが放出されたときだけ、その分解を阻害する形で作用発現するウブレチドの方が理にかなっている、と。
当院で今見ている前立腺肥大症患者さんで、手術前は残尿がかなりあり、やっと説得して手術していただいた方なのだが、
現在はやはりウブレチド10mg/分2で残尿もなくいけている。
この方は手術前には、ユリーフ8mg(前立腺肥大の処方としては結構きつい処方という意味)とウブレチド15mgを投与していた。
脳梗塞後の尿閉の患者さんで、
なんとかミニプレス(αブロッカー)とべサコリンとウブレチドの併用で、自尿でまかなうようにできていたのだが、
喘息発作を起こされて、ベサコリンの方が使えなくなり、
結局カテーテル管理を余儀なくさせられているの方もいたりして、実に残念さをあじわったりもしている。
そういえば、盟友・荒木先生@あらきクリニックは、
「ウブレチド半錠ずつ2回での投与をけっこうしますねぇ」と言われてましたっけ。
自分は副作用がこあうぃので、やはりベサコリン少量+ウブレチド1日1錠・・みたいな使い方をしている。
みなさんどうされてますか?
私はクリーゼまでは経験ありませんが、ウブレチドではかなり下痢が多い印象です。やっぱ私はベサコリン派ですね〜。
作用機序が違うものの、どちらも大量に使うと副作用がで安いので、自分もべサコリン少量から開始して、それにウブレチド1T/分2という形で乗っけることが多いです。
某偉い先生が、ウブレチドとベサコリンって一緒じゃないの、と、先日言われておりました。しばらく????な展開となりました。でも、少量で使う分には確かにそう差異はなさそうに個人的には感じます。
また意見をお聞かせください。
でも、きっとこの分野にも新しいクスリが近々出てくるのでしょうが・・・期待してます。
患者さんに、「治していただいて」とか言われると、
「僕じゃなくってクスリがいいんですよ」とか答えちゃって、なんか製薬会社の回し者のようですが、いいクスリはホントいいですよね。
高いクスリでも治ればそれはそれでいいことだと考えます。が。
寝たきりのような方で、膀胱収縮能が低下しているような方によく使うのですが、ちょっと量増やすと腹痛とか下痢はけっこうきますね。
残尿が減らず、尿路感染が当然抗生剤だけでは治らず、うつ手がなくなって、本日も90歳過ぎのお一人にバルーン挿入しました。
手を変え品を変えいろんなことをするのですが、こういう時って医療の限界感じます。ちくしょおめ。
皆さんどうされてますかねえ。
私は、37歳の女性です。
昼だけの頻尿に困っています。一時間に一回は行きたくなります。
泌尿器科を3件廻りました。始めは過活動膀胱と診断されベシケアを飲んでいましたが、余計頻尿になりました。でも、夜は効いていました。
私は、過活動膀胱ではないと思い、最終的には、総合病院の泌尿器科に行きました。
そこで、排尿後のエコー検査の際、残尿の多さが異常だと言われました。
そこで、排尿記録をつけましたが、たいてい200ml以上はある多尿です。
後日のエコー検査では、残尿は減ったものの、それでも少し多いほうでした。
残尿を減らす為に、ベサコリン50mgを試してみることにしましたが、飲んで一週間、まだ効き目を感じません。
昼だけ頻尿は続いています。
主治医は、若い医師で、偉そうで、「ベサコリンしか出さないから、ウブレチドが良いなら他へ行って」と言います。
何故、ウブレチドは処方しないのか聞いても、答えてくれませんでした。
個々に合う合わないもあるかと思いますが、ベサコリンとウブレチドとは、簡単言うと、どう違うのですか?
又、どちらの方が、良いのでしょうか。
お忙しいところお手数をおかけして申し訳ございませんが、お返事頂ければ幸いに思います。
本当に頻尿に困っていまして、人間らしい生活がしたいと心から願っております。
宜しくお願い致します。
先ほどコメントしたのですが、コメントは送信されているようですが、
そのコメントが、反映されていないのか、
私のPCがおかしいのか、コメントされていません。
なので、同じ内容を最新記事にもコメントしてしまいました。
何か承認されないと反映されないのでしょうか。
せっかくお返事頂けても、私は読むことができるのでしょうか不安です。
あと、牛車腎気丸という漢方も飲んでいます。
新しいエントリーの方にresしてますので、ご覧になって下さい。
いろんな体勢で大変みたいですが、残尿がほぼなくなったというのは非常に喜ばしいことです。やはりおんなじような手術された女性で、今も自己導尿して、夜はおむつで失禁という状態で過ごされている方もいます・・。
ウブレチドの下痢ってなる人は結構早期になるんですよね。ベサコリンがきいたというよりは、やはり時間の経過というのが正直なところなのだと思います。排出障害に関しては、ほんとアルファブロッカーとウブレチド系くらいしかないので、泌尿器科といえども、なかなか十分な治療ができず、バルーン留置になるケースも結構多いのが現状です。
とりあえずおめでとうですが、十分残尿には注意されて頑張って(頑張れというのもおかしな話ですが)ください。