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    僕は僕の居場所にただ佇んでいる。

    • 2013.01.12 Saturday
    • 14:33
     タクシーの後部ドアが開く。

    助手席で、死んだはずのヒトが、はやくはやくと手招きしている。

    「えっ、いいんですか」
    「どーぞどーぞ、お乗りになってくださいよ」
    「じゃあ言葉に甘えて・・失礼します」

    音もなくドアが締まり、タクシーは走りだす。

    「あのぅ、こないだ確か亡くなられたんじゃ・・・」

    わかっていたけど喉元まで飲み込んだ言葉を早々に切り出してみる
    こういうことは早いうちに言っとかんとね。

    「そうそう、そんなこともございましたけどね、今も結構こうやって気ままにさせてもらってますのよ
    皆様のお陰で足も切断せずにすみましたし
    もうそれに死んでしまいましたんで治療も必要ありませんしねー」

    逝きしのち伝う涙にくらぶれば昔はものを思わざりけり

    死んでから泣いても遅いよねえあんたが生きてる時はそんなこと思わんかったくせにねー)

    「なんかね、今作ったんですけど、
    あなたのいない情景っていうのは、なんか風景を切りとるっていうか、いっつも自分の中では短歌なんですよね。
    まあおれは、死んでからでは遅いので、生きているうちに旨いもの食って飲みますけど」
    「あらまあ、まあまあ、どうしましょ、でもね、若い人はそれでよろしいんじゃございませんの、
    いえね、こっちもこっちで、高島屋とかゴディバとかちゃんとございましたのよ、おほほほほ・・」
    「はぁ」

    タクシーが止まる。

    「あら、もう日赤についてございますですよぉ またお会いしましょう」

    タクシーの運ちゃんが振り返ってニヤリと笑う。

    「せんせぇ〜」

    その顔もかつて見知った人だ。

    お辞儀をして車を降りる。振り返るともうタクシーはどこにもいない。

    傍らに救急車が滑りこんできて、うわんと耳に圧がかかり、僕は僕の居場所にただ佇んでいる。
    この世に突然放り出された赤子のような面持ちで。

    でもそこが僕の場所なんだ。

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