慢性前立腺炎ですね、とか、若い患者さんに言う。
でもここで、こう続ける。
「慢性」っていうのはずっと前からあるっていう意味じゃなくって、弱い炎症がくすぶってるっていう意味なんですよ。
おしっこには明らかな炎症細胞は出ていないんですけど、前立腺の奥に炎症がくすぶっているんです、と。
うーん、当たらずしも遠からずといった苦しい表現だが、そのように説明して、患者さんには納得してもらっている。
「慢性」ということばは「治らない」という負のイメージに連なってゆく。
会陰部の得も言われぬ不快感を感じている患者さんはともすればナーバスになっている。
そこに神経が集中してるのかと思われるような患者さんにも遭遇するし・・。
そんなヒトに余計に「治らないのではないか」という懸念を与えたくないのだ。
でもその一方で、この病気は、ヒトより繊細な人がなるので、うまくそれと付き合ってく必要があるのですよ、とも、言っているんだけど。
難しい。
最近では、慢性前立腺炎と診断した人に、必ずαブロッカーも最初から加えることにしている。
最初っからフルスロットルで行くわけだ。
エビデンスがあるわけではないが、そのほうが効果があるような気がしている。
それにしても、いまだに、慢性前立腺炎の病態は謎だらけだ。
症状、尿沈渣、スコア、前立腺マッサージ(めったにしないけど)、で、診断つけて、
αブロッカー、ニューキノロン、植物製剤、漢方薬・・時に項コリンとかも用いて治療するけど、結構手探りな部分もあったりする。
臨床の場では、症状を緩和することが一番重要だ。
そのために口(ムンテラというのだけど)も使えば、薬も使う。
ずっと前に、MRの方がくださった冊子に、
Brain functional and anatomical change in chronic prostatitis/chronic pelvic pain syndrome
Farmer M.A.,et al(J Urol 2011,186:117-124)というのがあった。
慢性前立腺炎の患者さんの、脳の機能と構造の特徴をMRIで検索したものだ。
この結果、骨盤腔内の疼痛時には、右前頭皮質内に活性化が見られ、症状と相関したという結果だったそうだ。
考察にはこんなふうに書かれている。
慢性的な骨盤内疼痛が脳に特異的な神経インプリントを残し、それが何年も残存することが示唆される・・。
何か納得行くような考察である。
症例数は19例と少ないが、こういった中枢に対するアプローチは、この疾患の症状の多彩さに対する突破口になる可能性があるかもしれない。
昨今、慢性疼痛に対する薬剤も何種類かリリースされ、疼痛に関する研究もより一層進んでゆくことだろう。
(ペイン・クリニック標榜してる先生も増えてるし・・)
我々開業医も、こんがらがりながらも、新しい知見に耳を傾けながら(傾けると言うよりはアンテナ張り巡らせんと情報なんて入ってこんけど・・)、よりいっそう励んでますんで、
まあよろしくお願いしますということで。
そうなんですよね、もう残暑お見舞い申し上げます、だったんだ。
*慢性前立腺炎/骨盤内疼痛症候群は、泌尿器生殖系の持続的不快感を特徴とする原因不明の疾患で、男性の5-10%で発症する。
関係ないけど本日の病院食。
泌尿器科医の先生にも
「気のせい。」「精神的なもの。」
と言われてしまうことの多い慢性前立腺炎について言及されていて、
興味深く読ませていただきました。
下記のブログの高橋先生はご存知でしょうか?
http://hinyoukika.cocolog-nifty.com/cp/
慢性前立腺炎についてかなり研究なさっている先生です。
泌尿器科学会でも発表されています。
高橋先生はウロフロとエコー画像を中心に診断なさるそうです。
アメリカでは慢性前立腺炎にはアルファブロッカーが第一選択というのが常識らしいですね。
しかし、日本ではなかなか処方してもらえずに苦労する患者も多々いるようです。
高橋先生はアルファブロッカーを第一に処方されますが、
うらら先生(とお呼びしてよろしいでしょうか?)もアルファブロッカーを処方なさるということで、
その点も興味深く思いました。
高橋先生と直接の面識はありませんが、先生のブログは何かの折に必ずヒットするので(!)そのたびに興味深く読ませていただいております。
当院では、膀胱頚部の切開術は行なってはいませんが、頷ける部分はありました。
それと前立腺のレセプターのことを考えると、アルファレセプターを避けては通ることはできません。
そういえば、高橋先生、過活動膀胱治療薬のベタニスも、発売されてから早速、前立腺炎の方に投与されてましたよね。
確かに、前立腺炎というのは捕まえようとするとするりと逃げてしまううなぎのようなものである主掴みどころのない病気であり、医者泣かせでもあり、患者泣かせでもあります。
だから、文面でも取り上げた、慢性疼痛のこととか、脳に与える影響とか、まだまだわかっていない部分に対してなにか新しい解明が進むともっと違った切り口で理解が深まるのではないかと思いました。
でも、動物実験モデルとかで証明することがなかなかできないのが、前立腺炎解明を遅らせている一要因でもあると思います。
しかし、たしかに悩んでいる患者さんが多いのも事実ですし、
こうすればこうなるといった、ルーチンの治療もなかなかないというのも現状ですし、
まあ自分たち医者もぐるぐる回ってるんですよ。
そうですね。
高橋先生は発売されて早速、ベタニスを多くの患者さんに処方されているみたいです。
αブロッカーが、膀胱の緊張のギアをニュートラルにする薬で、ベタニスは膀胱の緊張のギアをバックに入れて積極的に緊張を緩めるというような例えを、高橋先生はブログの中でされていました。
しかし、その画期的なベタニスをもってしても、この病気は一筋縄ではいかないようです。
たしかに、ベタニスによって、アルファブロッカーを超える症状の改善を実感された患者さんもいらっしゃるようですが。
そういったこともあり、やはり投薬治療では限界のある患者さんも未だにたくさんいるわけです。
その場合には、膀胱頸部の切開術を行う意義があると思います。実際に切開術によって劇的な症状の改善を実感された患者さんもたくさんいるようですし。
投薬治療では限界のある患者に対する切開術がもっと普及すれば、助かる患者も多くいるのではないかと思うのですが、
なかなか普及は難しいようです。
膀胱頸部硬化症という病気は、昔から認知されていた病気だと思いますが、一般的に、日本の病院では膀胱頸部の切開術というのは行われないものなのでしょうか?
いろいろな制約があったりして難しいことがあったりするのだと思いますが、ulala先生の病院で膀胱頸部の切開術を行われないのはなぜでしょうか?
膀胱頚部切開術云々ではなく、今は局所麻酔の手術しか当院ではおこなっていないので・・ということなんですよ。
前立腺炎の人の膀胱鏡検査自体を行うケースがあまりないのと、経験がないので、そのくらいしか申し上げられません。
ベタニスに関しては、この10月から長期投与可能になったので、きっといろんなケースにぶつかって抗コリンとの違いに関してもいろいろ考えていくようになると思われます。
よろしくお願いいたします
高橋先生に診てもらってるのですね。あのblogからするとかなりアグレッシブな方なんでしょうね。でも医者は目の前の患者に必ず向い合ってくれますので、きっと素晴らしい治療を受けられているのだと思います。
時分も少しでもお役に立てるように頑張りたいと思いますので、よろしくお願い致します。
経過を見て症状は変わりませんでしょうか?
街中ではほぼ無理な条件なんですが、例えば海や山など、前述した程度の範囲に全く、
本当に誰も居ない状態です
というのは、一種の振動障害の延長なのではないかと思うのです
下記の方は文章に多少疑問もあるのですが、苦しんでいる事の原因に
「共振」という単語がありましたttp://yaplog.jp/sibahara/archive/367#commentform
私は原因が電磁波だとは思っていません
しかし生活環境の中で、全く症状の無い状況を鑑みると乗合の車両を
用いない、自転車やバイクでの長距離移動中のみであったため
また土地柄人の居ない環境で誰か傍にくるまでは症状がほとんど出ないため
勿論「人体の持つ固有振動数」といったモノを鵜呑みにする訳ではないのですが
実体験から人による外的な要因が物理的に絡んで居るのではないかと考えました
部屋を別にするとかフロアを隔てるとかいった事ではなく、本当に
周囲に人のない状況です
患者さんの周囲の方、ご家族やそれ以外の異性、同性の方に傍にあるとき
体感として何か変化がないかどんなに些細でも良いので患者さん本人だけでなく、
周囲の方の体感も含めてお伺いできると関連性が考えられますが
特に周囲の方の体感を伺う事はまず難しいと思われます
突飛な話だと思いますが何かしら外部よりのアプローチが出来ないものかと
投稿致しました、見当違い、迷惑でしたら申し訳ありません
振動障害についてはちょっとわかりませんが、会陰部の圧迫そのものは前立腺の血流障害にはなるように思います。ただ、上記もしましたように、一概にいえないので、確かに「前立腺炎」という名前でひとくくりにするのが問題かもしれませんね。
また毎回、患部の症状をきっかけに胸の表面から内側へ血流が
引きずられてしまいます
また胸部のいくらかの範囲で温感が無くなる事もあります
脳のインプリントと関係があるのかは分かりませんが
心臓の血流の取り回しに普通の人とは違う問題が起きているような実感があります
困ったことに感覚の喪失している部分は普段胸部に血液を引き上げている筋肉の感覚も含まれるので大変難儀しています
当然患部とそれに延長する血管にばかり意識が重点されてしまうので悪循環となってしまいます
患者さんの心臓や周辺の血管、筋肉の挙動も観察していただきたいと思います、ぶしつけですみませんでした
関連痛とかいったたぐいのものなのかもしれませんが、気をつけて患者さんの訴えは聞くようにしているつもりです。今後もumeさんの言われたような点にもさらに留意いたします。
肛門から触診できるように前立腺の感覚は腸にも伝わりますし
前立腺を起点に顎までの一本の道筋に、まるで「えんげ」の上手くいかない患者さんのような不具合が起きているような気がします
情緒が不安定になるのも顎より上の、脳への血流が不十分であったり安定した供給が確保されにくくなっているのではと感じます
これから暑い季節となりますがお体に気をつけて頑張って下さい
前立腺は確か骨盤腔内の臓器の中では一番神経が豊富だそうです。いろんな関連症状が随伴するのが、特徴ですね。
そちらもご自愛されてください。
大田区の高橋クリニックと座間市の相模台病院の先生みたいな
先生になってください。 お願い申し上げます
高橋先生のサイトは拝見させてもらっております。参考にさせてもらってますよ。