寒い中、夜の講演会へ。
『OAB治療の新たな選択肢ーベタニスー』、山梨大学泌尿器科教授・武田正之先生の話を聴く。
ベタニスは過活動膀胱(OAB)治療薬の中でもβ3アドレナリン受容体に選択的に作用して、膀胱容量を増大させる薬だ。
今までの抗コリン剤とは作用機序が全く違うので、抗コリン剤処方において悩みの種だった便秘やら口渇といった副作用が軽減される。
ただ、現段階では、日本のみの発売で、データが出揃っていないため、抗コリン剤との併用は原則ペケ。
臨床家としては、抗コリンだけではいかんともしがたかった患者さんに上乗せで使ってみたいところだが、それは将来的展望を待つということであった。
(欧米で併用の治験がスタートしたとのこと)
で、なんとなく使い分けについてのイメージを掴みかねていたのだが、
抗コリン剤は『異常な膀胱収縮を抑制させること』が機序であり、
ベタニスは『膀胱容量を増大させること』がその機序とのこと。
そういうふうに住み分けするとある程度わかりやすいかもしれない。
生殖器に影響与える可能性あるので、閉経期以後の女性のOABで、重度の肝障害や心疾患を有さないものが良い適応とのこと。
作用機序から言っても尿閉のリスクは少なそうなので、H先生がこの薬を第1選択でと言われる気持ちもわからんでもないなあ、などとも。
ただし、ベタニス、去年の9月の発売なので、まだ14日処方しかできません。
そんな訳で、当院でも使っている患者さんは、5名弱くらいです。
男性の場合はやはり前立腺肥大に伴うOABなので、アルファブロッカー+ベタニスという処方になってます。
新しい薬の話題もずいぶん教えていただく。
ED治療薬のシアリス(5mg)や経口デスモプレシンがOAB治療薬として認可、
2012年にはデトルシトールの進化型のフェリテロジンが上梓される、
2012年には副作用少ないかものポラキスの貼り薬が上梓される、
日本では未認可だが、FDAではボツリヌス毒素の膀胱内注入が認可された、
そのうち排尿中枢の刺激抑制のクスリなんてぇのも出るのではないか・・などと。
確かに医学の進歩は目覚しい。