尿道を拡張する道具が尿道ブジーである。『尿道ブジー』は金属製の道具で、尿道の走行に沿ったカーブを有している。
女性の場合は尿道が短いのでこういった道具はめったに使わないのだが、女性専用の短いものもある。
男性の場合、尿道は複雑にカーブしており、
その解剖図を頭に浮かべながら、盲目的にこのブジーを細いもの(径4mm)から太いもの(径10mm)まで小刻みに拡張してゆく。
外傷性の尿道狭窄で切開術を施行したあととか、TUR-p(前立腺肥大の内視鏡的手術)のあとの狭窄に対する定期的な拡張の時とかも、この手順で行ってゆく。
うちにもこんなブジーが20本くらいある。まるで拷問道具のようだ。
先端のカーブの具合でDITTELタイプと GUYONタイプがあり当院のは後者だ。
昔、研修医が、
処置室にこもって、ひとりの患者さん(交通事故のあとで尿道断裂したのを内視鏡的につないだ)を相手に30分くらいああでもないこうでもないとブジーを続けて、患者さんのほうが根をあげたことがあった。
医者はこうやって生身の患者さん相手に修行させてもらって習熟してゆくのだ。
ありがたい話だ。
もちろん自分もこうやって勉強させていただいた。わしらはモルモットか、と言われる患者さんがおられるが、そんなわけであながち間違った発言ではない。
【症例1】患者さんは骨盤部打撲による球部尿道損傷にて保存的に加療いたしました。
血腫吸収されてから尿道が瘢痕性収縮をおこし、強度球部尿道狭窄の状態となりました。
入院していただき、腰椎麻酔下に直視下内尿道切開術を施行いたしました。
術後経過は良好で7日後にバルーン抜去し、尿道ブジーで20Frまで拡張容易であることを確認し、その7日後、再度22Frまで拡張し退院としました。
外来で定期的にブジーしながらフォローする予定です。
【症例2】患者さんはH12.9より、前立腺肥大症にてフォローしていましたが、本人手術希望され、H13.3TUR-p施行いたしました。
そのとき尿道が非常に狭く、シースを動かすのが非常に困難で十分なTURを施行することができませんでした。
その入院の時たまたま胃カメラでMKがみつかり手術しました。
その後イレウスとなり再手術したりいろいろあったのですが、その経過中少しずつ尿の勢いが減少してゆき、もう一度残存腺腫に対して、レーザーにてILCP目的にて入院されました。
この手段を選んだのはもっとも侵襲が少ないと考えたからです。
術前に膀胱ファイバーしたところピンホール上の尿道狭窄があり、手術当日IOUとILCPを施行いたしました。
7日後にバルーン抜去し、20Frまで尿道拡張術施行しましたがスムースのため退院とし、以後外来で定期的にブジー施行予定です。
またエコーで腺腫のサイズと排尿状態をチェックしてゆく予定です。
面白くもないがこんな感じだ。
医学の道具は進んでゆくが、この器具はきっと百年経ってもこのままだ。完成形なのである。これ以上でもなく以下でもなく。
おお、パーフェクトなものが持つこのメタルな輝き!頬ずりしたっくなるでしょ?
ここから蛇足。
たまに尿道フェチの人がいて、尿道にヘアピン入れるとか針金入れるとか鉛筆入れて膀胱まで到達しちゃって膀胱破裂して・・なんてケースもある。
精液が尿道を通る快感というのは、男性諸氏には十分了解可能なのであるが、このメタルな物質を入れたがるフェチも当然いるわけで、
尿道を逆行性に冷たい金属棒が差し込まれるというのはどんな快感なんだろうな?おれはあんまりウエルカムじゃないけど。
その手の話題といえば、究極の性感マッサージ・前立腺マッサージというのもあるが、あれも気持ちいいといった患者さんは残念ながら経験していない。
自分のマッサージが下手くそ?いやいや、マッサージうまいと言ってくれたマニアックな慢性前立腺炎患者さんはいたけど。
そういったマニアではないのだけど、
最近夜中のアニメで観ている『変ゼミ』(変態生理ゼミナール)は非常に練られており、ちょっと一方的かなと思うところもあるが、こんな話がアニメになるのだと思うといい時代だなと思う。
単行本もなんか寝そべって読むには結構話の背景とかが重層的で、一話ずつ読み進んでいる。
TAGRO先生バンザイ!
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評価:
コメント:これはハマる人はハマるだろうな。
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ヘアピンや鉛筆を入れるくらいなら7000円でこの器具を買って入れる方が安全ですね。医療器具をなんだと思ってるんだ、とお叱りうけそうですが。あ、僕はその趣味ありませんけど・・
ハタチのとき入院して術後3日間自分でトイレへ行けなかったため導尿の経験があります。痛い、怖いというよりは恥ずかしかったですね、若かったから(笑)
僕の尿道は150人に1人(でしたっけ?)の奇形(苦笑)なので、やっぱり入れるの苦労されてました、看護師さん。
『尿意はない』と言うのに、『それは麻酔が効いてるからでもう12時間おしっこしてないんですよ』と言われてグイグイ管をつっこまれ、管の先が膀胱に達した瞬間の感覚は今でもよく覚えています(笑)
う〜ん、でも・・自分が何歳までどんな人生送るかはかりしれませんが、シモのことって恥ずかしいとかじゃなく、みなヒトゴトではないんですよね。
入院するか通院するか、手術するか投薬で様子みるか、など医療に関しては医師と患者で選択をせまったりせまられたりする場面が多々ありますが、生きるか死ぬかという直の選択は出来ないんですよね。
あ、ちょっとヘヴィな空気が・・大丈夫です、落ちてませんよ。(笑)
ありがとうございます。
自分としてはブジーのことだけ書いても仕方ないんで、後半部分になだれ込んだわけですが、やっぱりこういうのって現役の医者のあんまり書くことじゃないよなあ。と全然反省してませんから、大丈夫。
自分も、虫垂炎の手術の後、尿意ないのに規則ですから、と、看護婦さんに言われて、嫌なので、ヒトを排除して自分で導尿しました。濃縮尿がちょろっと出ただけだったなあ(^^。
先生の医療系エントリーも、僕の長いコメント(笑)もクレームつくことがありますが、ブログもコメントも基本的には自慰でいいじゃん!と思ってます。
僕もいろんなブログを見ますが、行間が長いブログなど自分の苦手な感じの匂いのブログは読み飛ばしたりすぐ立ち去ったりしてます。
あまりに内容について心配だったり、明らかに教えてあげた方がいいときにはメールで伝えてあげたらいいですしね。
まぁ、ブログでもSNSでもリアルな人間関係でも失敗もするし傷つきもする。(もちろん傷つけてしまうことも。)
もう幾度となく経験して分かっているのに繰り返しちゃいますよね。それが人間、それが人生。たまに傷つくとたしかに落ち込むけど、自分も調子にのらないようにって思いなおすきっかけにすればいいことだ、と。
そんな足し算引き算掛け算割り算しながら生きてくしかないんですよね。あ、大丈夫です、落ちてないです。(笑)
ゾクゾクとワクワクを同時体感出来るブジ―なブログ、楽しみにしています。
尿を管いれて採ってたんだけど
こういう感じのを使ってたのかなあ・・
自分は、遊走腎とかいうやつで
15のときに、管を入れたことがあるので
ああいう感じで尿をとるのかなと
想像はつきます。
それにしても、
精液が尿道をとおるとか考えたこともなかった。
そっか、だから排泄と一緒とか
いうんだ。
よく排泄と一緒というけれど
いまひとつよくわからなかったので。
おそらく包皮の余剰分のため、ペニス本体が皮下に埋没したような形になって、なかなか亀頭そのものが露出しにくい状態なのだと思われます。
これは新生児とか、小児の肥満の方ではまあまあ見られる光景です。
ラコールミルクさんが、肥満体型であれば、痩せられるのがいいかと思います。
もしそうでないとすれば、実際のところなかなか策がないと思います。
もし、余剰の包皮を切り取ったとしても、ペニスそのものの露出部分は少ないかもしれませんし・・。
包皮をおもいっきりむいて、なるべく亀頭を前方に出すような形で狙いを定める(おそらく今もこうされているご様子ですが)のがベストかと存じます。
もしくは、狙いが定まらなくてもいいように、洋式トイレで座って用を足される・・くらいでしょうか。
なかなか快刀乱麻の答えが出ずに申し訳ありません。
ご心配ならやはり、一度泌尿器科の専門医に相談されてはと思います。
以上、よろしくお願い致します。
尿道炎による尿道狭窄だと結構距離も長いし、尿道全体が硬い感じではなかったのかと推察されます。そうなると再狭窄を防ぐために尿道拡張術は絶対必要になってきますね。
狭窄がピンポイントの場合、十分に拡張できていれば、1ヶ月ごと、それで抵抗ないようなら2ヶ月、3ヶ月と伸ばしていきます。大体3ヶ月くらいまでにしてます、自分は。そういえば、大工さんの脚立での会陰部損傷で、手術で尿道狭窄解除した方は、その後調子いいのでやめたこともありましたっけ。
で、こぼさんご自身の尿道狭窄ですが、前述したように、もし狭窄が複数の場所にわたる場合は開けても2ヶ月くらいかなあと思いますが。
主治医の先生がほぼ抵抗がないとおっしゃるのならまあ3-4ヶ月ごとくらいの感じでしょうか?
・・今まで書いたことからお分かりのように、再狭窄予防という観点では、頻度こそあれこれですが一生続けたほうがbetterということになります。
夏の尿閉時には、導尿のためのカテーテルが会陰部以降進まず、内視鏡によりピンホール状にほぼ閉塞していることが確認されたため、その場で緊急的に拡張し(ものすごい痛みでした)、翌日腰椎麻酔下でバルーンで拡張しました。その後、さらに膀胱鏡で検査を行ったところ、当該部位のすぐ奥にも四重ほどの肥厚した襞が見つかったため、腰椎麻酔下で内尿道切開術を行いました。私の記憶で尿道炎と言っておりますが(疲れで血尿が出やすかったり、留学時に高熱と血尿が出たが怖くて病院に行けず・・・ということもあったので)、当初、担当医の方には、淋病になったか聞かれましたが、身に覚えがないと答えると、打撲かもしれないとのことでした。
現在までブジーは4回行い、4週間開いてると問題なさそうですが、6週開くとキシロカインを入れるのにも若干抵抗があるようです。毎回15Frから始めて25Frまで進めます。前回は17Frぐらいで少し抵抗があり、私も痛みがありました。
それにしても、一生ですか・・・。精神的には結構負担ですね。仕事柄転勤や転職もあり得るので、いろいろ考えさせられます。
しかしお話読ませていただくとかなり重篤な感じですので、やはりブジーは必要かと思います。17Frで抵抗があるということは、やはり1/4wくらいに・・なると思います。
自分もまっさきに淋病のことがよぎりましたが、あれは太平洋戦争の頃の、淋病を放置してゴリゴリになった人たちの話なので、最近の淋菌感染症で尿道狭窄症じたという話は聞いたことありません。
いったい何が原因だったのでしょうね?お大事になさってください。
今の担当医の方はおそらく上手な気がします。しかし、引越しなどで病院を変えざるを得なくなると、担当医も変わります。下手なブジーで、かえって尿道を傷付けてますます狭窄部位が増えたりしても厄介だなあ…なんて。
埼玉のB医大かどこかに、狭窄部位が短ければ切除後に端端縫合で繋ぐという先生もおられるようですね。少し検討しようかと思ってみたり。
ただ、端端縫合したところで狭窄が起こりそうな気もしないではありませんが…。
やはり内視鏡手術で拡げられたので、そのままブジーで粘られる方がいいかと存じます。気分はちょっとブルーでしょうが、頑張られてください。
現在進行形でこの治療をしていましたが
尿道にバイパスができるという
余計尿道が荒れる顛末になっています。
もともと整形外科の手術の際全身麻酔をしてカテーテルを挿入して尿道に違和感が発生し、その2ヶ月後に尿道が閉塞したことに端を発しますので、こぼさんとはちょっと違いますが、現在は2週間で尿のでが悪くなり、内視鏡でのぞきながら、ブジーを省略しています。今度は入院してカメラで確認しながらブジーをすることになっていますが、ここでもう一つ不安があります。
病院の先生は理解してくれているのか不安ですが、毎回ブジーのあと30分ほどから、まるで高熱が出る前兆のような体(特に腰)のだるさと震えがやってきて歩くことも困難になります。急性前立腺炎を患ったことがありますが、その症状に似ていますが熱は出ません。その症状は半日近く続きます。いかが思いますか。
ネットでブジーを検索してたどり着いたのですが、皆さんブジーはお嫌いなのですね。私も大嫌いです。これが一生続くのかと思うと頑張る気力は萎えてきますね。こんな話題を共有できる人が居ると少しは慰めにもなるのでしょうね。
ご苦労されている様子、文面からひしひしと伝わって来ました。
今回、入院してのブジーとのこと、ご苦労さまです。それも内視鏡ということはなかなか一筋縄でいかない狭窄なのでしょうね。
しかし内視鏡下で挿入が可能ということはそんなに長い距離の狭窄ではないということでしょうか。
それよりも問題は書かれているバイパス?(尿道からのリーク(漏れ)とか尿道からの瘻孔のことでしょうか?)があるために、ブジーされた時に感染が生じやすくなっているのでしょうか。
あまりに頻回にブジー必要とされるようなら、拡張後しばらくカテーテル留置しといて、そのバイパスの消失を待つのも一手かとか思いました。
それと先生にブジー後の違和感のこと訴えられましたか?
もしかしたら予防的抗生剤の投与が奏効するかもしれませんので、一度ご相談されてはと思います。
本文にも書いたかもしれませんが、狭く硬くなったところを物理的に破壊して広げる治療ですので、痛くないはずありませんし、愛護的な治療でもありません。
やられる方jは溜まったもんじゃありませんし、一回では済まないし・・。
これが完全だという治療法はありませんが、自分もピンホールの狭窄のヒトを拡張して、今は外来で3ヶ月毎で痛みもほぼなしという例もありますので、
落ち込まずに前向きに行きましょう。
なんの助けにもなりませんが思ったことを書かせていただきました。お大事に。
内視鏡程度の貫通ですと処置後は震えもありません。それでも処置後クラビットを2日分いただいています。ブジーの際に、違和感のあることが何度かありました。(そんな時はだるさも倍増でした)それがバイパスを作ったのかもしれません。カメラでみると穴が二つ見えたんですよ。
そのときは2週間ほどカテーテルを入れっぱなしで過ごしました。その後も半月ほどすると狭窄が起こります。内視鏡での画面では白っぽい幕が尿道の2か所で見られます。
これは患者としての私見ですけど、看護師さんがゼリーを入れるときに狭窄箇所が広がる感覚があります。まだ先生には伝えていません。大きい病院で患者さんが大勢待っているので問診の時間にすべてを伝えきれないですね。いつも問診の時間は3分くらいだと思います。
なにはともあれ、間もなく入院してのブジーです。じっくりと落ち着いて処置を受けられればいいのですが、怖くて腰が浮きそうです。ブジーは優れた道具なのかもしれませんが、私には拷問の道具並みの恐怖です。
確かに気が滅入る話です。お力になれず申し訳ありませんが、頑張ってください1
状況を理解して話を聞いてくださる人がいると安心します。本当にありがとうございました。
ブジーについて検索していたら、
貴方様のブログに辿り着きました。
普段、SMクラブで女王として働いているのですが
カテーテルやエネマグラと同じく
ブジーも医療用器具だったんですね…
(知らなかったです…拷問器具だとばかり思っていました…笑)
色々と勉強させて戴きましたので、
感謝の意を示してコメント残させて戴きます。
(内容がちょっと不謹慎なのでコメント非公開にして下さって結構です♭)
お邪魔致しました。
m(_ _)m
SMでブジーも使うのか・・それは知らんかったなあ。どういったプレイなんだろうね?
まあ、尿道狭窄を、手術ではなく、盲目的手技で広げるというコンセプトの器具ですので、拷問といえばそれに近いかもしれません。しかし侵襲少なく(痛いけど)外来診療として施行できるので、される方はたまったもんじゃないですが、それに目をつぶるといい治療かもしれませんよ。
皆さん、なかなか人に言えないご苦労をされてるみたいですけど、Ryoさんも愛護的ブジーをおねがいしますよ♡って女王様は口で罵っても愛護的なんだと思いますけどね。