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  • 2014.04.04 Friday

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    don't shut out the light.

    • 2014.02.09 Sunday
    • 12:42


    誰かが、頭上から土をかけている。
    誰かではない、正確には複数形だ。
     
    彼らは、口数少なく、ただ、自分に課せられた任務を果たしているだけだ。
    そんなことは十分承知だ。
    でも、声は思念としてこぼれてくる。
    グスコーブリはよく笑ってたね。いやクラムボンはよく怒ったよ。あれは仕方なかったのさ。ひばりが泣いても火事はしょっちゅうだったからね。
    あれは事故だったのさ、しかたのないことさ、誰がやっても結果はおんなじだった。
    いや、誰がやっても結果はおんなじだったのかもしれないけど、それでもあいつが殺したも同然さ、だからその結果ヤネリがこの土の下にいるのも当然の報いなんだよ
    ヤネリは死んだよ寒い夜に。ヤネリは死んだよ星も凍る夜に。ヤネリはもう怒らない。ヤネリはもう笑わない。

    極寒の中でも、脈拍は上がり、呼気の二酸化炭素濃度は増える。
    労働者たちの肌から汗が吹き出し、筋肉には乳酸が蓄積する。
    この仕事を終えたらありつけるはず晩飯のことだけに皆の思念は集中し始める。
    もう、日は陰り始めている。早く、この墓埋め作業を終えねば。
    明日にはどうせ他の労働が待っているのだから。

    おれの上に雪のように土が積もってゆく。

    忘れようとしても忘れない記憶がおれを苛む。
    この手が赤く染まって、だがその記憶がおれを作っている。

    生まれた時は無垢だったのだと、泣き叫ぶ奴も居るが、冗談だろ、生まれた時からドロドロさ、そうおれは答えることにしている。
    この手が他人の血で赤く染まるか、自分の身体から流れだす血で染まるか、それだけの違いだ。
    判断が遅れれば死は瞬時におれをヒットしただろう。

    あのコンビニの角を曲がった角から飛び出してきた、暗視ゴーグルに浮かんだ少年兵の胴体めがけて引き金を引いた。
    下手に顔面やら胸なんて狙うもんじゃない。
    腹にヒットさえすれば、腐りながら死んでいってくれる。
    ためらえばこちらが撃たれるだけだ。
    少年の顔は凍りつく暇もなく、崩れていった。
    なにが正しいとか、なにが間違っているとか考えることなんてない。作戦の完全遂行を目指すだけだ。

    無論仲間たちも大勢死んでいった。
    この収容所におれ達がいるのは、もちろん偶然のなせる技だが、その偶然だって、もしかしたら必然のつみかさねが生み出したものなのかもしれないぜ。
    だからおれたち兵士は、その場その場で最高の判断を可能にするように、日夜トレーニングを重ねてきたんだ。
    まあ、「殺す」ことが商売で、その結果こうして捕虜として生きているおれたちに、もう「道理」も「大義」もありゃしないけどね。

    ここの環境は思ったよりも悪くない。
    でも、数日前も、ウイルス性腸炎で、17歳の狙撃兵が死んだよ。
    「ママ、頼むから明かりを消さないで。暗いんだ、真っ暗なんだ。寒いよ・・」彼はそう言いながら絶命した。

    拷問で死んだ奴らの、顔と股間にプラスチック爆弾を巻いて、爆破した。
    証拠隠滅。すべてが終わる。
    美人も子供も関係ない。涙や色気で挑発したって心はもう動くことはない。作戦を遂行するだけだ。
    そんなものに釣られるのはもっと上の地位にいるやつか、もしくは命を捨てたい奴らだけだ。
    おれたちは命令を遂行してより長く生きてまた次の作戦を待つだけだ。
    この戦争は誰が起こしたかなんてそんなことはどうでもいいことだ
    そして、おれたち兵士に、戦場以外で生きる場所が一体どこにあるっていうんだ?

    肌の粘膜と外界の間にいつもいかなる時でも一枚の薄い粘膜が張り付いているんだ。
    そいつがおれと彼らを隔絶する。
    休暇で家に帰って、妻を抱いている時も、子どもとポップコーンをつまんでビールをあおっている時も、その膜は剥がれることはない。
    だから、すぐにおれは癇癪を起こし、妻を殴り、子供の顔の輪郭がぼやけるまでテキーラをあおるんだ。

    燃え上がるわらの屋根、なにかわからない言葉でこちらを拝むスゲガサの老婆、はだしの子どもたち、薄い汚れた服で自らの美しさを偽装した妊婦。

    「ママ、ここは暗いけど、しかたがないよ。
    でも、せめておれの部屋の明かりは消さないでいてくれるとありがたいな
    せめておれの部屋の明かりだけは・・」

    【蛇足】
    怖い話だね。
    スプリングスティーンの「shut out the light」と、
    愛媛新聞2014/02/05の、1999年チェチェン侵攻での、独立派の拉致や処刑を実行したロシア特殊部隊「スペツナズ」帰還兵のインタビューから作った。
    そして「マルドゥック・スクランブル」のボイドという虚無を道連れにした男の幻影も重なっている。
    ホントに怖い話だ。
     

    SILENT NIGHT,HOLY NIGHT

    • 2013.12.24 Tuesday
    • 21:34

    完璧な恋愛はない。
    完璧な人生がないのと同様に。

    人生はだらだらと続き、ある日ぷつんと途切れる。

    おかしいなあ、聞こえないなあと、受話器を置く。
    さっきまで、あんなに耳元近くであの娘のウイスパーボイスが聴こえてたのになあ。
    糸電話の線をたどってゆくと、ある場所で急に糸がぷつんと、切れた時の音までがわかるくらいの感じで切れており、そこから先はnothing、なにもない。
    線の先はどこを探しても見当たらず、そこですべての関係性もすっぱりと終わっている。

    Nothing on nothing.

    初めからなあんもなかったのかもしれないよな、だったらさみしくなんてなりっこないよ、
    そんなふうにせいぜいうそぶいてみる。

    さみしいけれど、いくらネットの上で知ったかぶりをしてても、一方的に姿を消されたら探す手立てなんてない。

    ボクはその時まで、まだ実は決まっていない、「あめり」に送るはずだったクリスマスプレゼントのことを考えていたんだ。

    でも、彼女がこうやって姿を消してみると、
    彼女に連絡する手段が何一つないことに改めて気付かされたっていうおマヌケな展開だったってわけだ。

    そもそも、ほんとに「あめり」って女の子はこの世に存在してたんだろうか?

    誰かの何かの悪い冗談で、つくりだされた存在、もしかしたら自分の妄想?
    いや、彼女の痕跡は、あそこにもここにも、ほかならぬ自分の脳髄に染み付いているじゃないか。

    でも、それが自慢になるかといえば、なあんも。

    彼女の声と笑顔は手を伸ばせば届くくらい近くにあったはずなのに
    もうすでに非現実で包まれてはじめており、チェシャ猫みたいに浮かんだままで溶けて消えていったんだ。

    あのウイスパーボイスの余韻だけを残して。

    「メリー・クリスマス、
    クリスマスにはきっと雪になって、
    それでね、暖かい部屋でとびっきり薄着で過ごすのよ、
    セクシーでしょ、シャンパンで乾杯は絶対よね、
    みんながね、楽しいことだけを考えて過ごす夜に、サンタを待ちながら眠るように死んじゃうのってとってもステキじゃない、
    ほら、トナカイの足音や、ジングルベルで浮かれた街や、イルミネーションを思いながらね、
    そして、
    そんな光景の傍らにいた女の子のことも覚えていてね・・
    ずっと、ずっと、
    そしてね、あめりがぐっすり眠れるようにキスして欲しいの、
    甘い甘ぁい綿菓子みたいに溶けちゃうようなキッスをね・・
    メリー・クリスマス、
    ほらいったとおり雪になったでしょ、きっと街は渋滞だわ、おやすみなさい・・」

    通話が切れる。

    窓を開けるとしんとした大気が部屋に流れ込んでくる。
    確かにsilent nightだ。
    潤んだ視界に映る白い雪は、やがて、もっともっとぼやけ始めた。

    SILENT NIGHT,HOLY NIGHT.

    だから僕は、もっともっと誰かを好きになってくだろう。

    たとえそれがそんな終末を迎えようと、僕らはまだまだ誰かを好きになって愛して、そして生きてくんだ。

    落河内の大カツラ(pirokichi劇場その)

    • 2013.12.05 Thursday
    • 12:04
    pirokichi5.jpg

    http://web.stagram.com/p/601223222774934088_13128529

    ●その1

    その樹はもう何百年もそこに佇んでいた。

    地中の養分を吸い上げ、大気を清浄化して、酸性雨に耐え、放射能に耐え、津波に耐え、嵐に耐えながら。
    いつしか地中から這い出てきた根のとっさきは、自らの上半身である大樹を見上げて、話しかけた。

    「ねえ、あんたぁ、あんたはそうやって、長いことお陽様の光やらいろんなもんに晒されてなにを手に入れたんだい?」
    「おれたちはあんたのために、このくらい土の底でずっと地上の夢を見ながら、あんたのためにせっせと養分を吸い上げてたんだよ・・」
    「そんなオイラたちの気持ちがわかるなら、あんたには答える義務があると思うんだよ、なあそうだろ?」

    大樹は黙して語らなかった。
    風が過ぎていった。

    地上の夢を見た根はいつしか地面にその根を持ち上げ、触手を伸ばし、その上に雪が振り、苔が蒸した。
    何十年かが過ぎた。
    思い出したように地面の上の地上根は大樹に語りかけた。

    「そうだな、あんたが語らないのもわかるような気がするよ、おれたちに言葉は無用なのかもしれないな・・」

    それだけの話だ。

    時が過ぎてゆく。

    ●その2

    pirokichi7.jpg


    天空には赤い月が輝いていた。
    満月は大気を血の色に染めていた。
    それはややダークであったものの、生と歓喜の赤、誇りと栄光の赤にほかならなかった。
    赤はゆっくりと、だが確実に、おれの心を満たしていった。

    例えば地下牢に監禁されていたとしても、その赤い月の存在は正確におれの心を射ただろう。
    無垢な乙女の息吹のような愛らしさと、あばずれ女の酒混じりの優しい吐息と、生まれたばかりの赤子の無防備と、そんなものを混ぜあわせたような月の存在。
    そいつがおれの心の扉をノックする。
    その波動に浸っていると、目の前のすべてがどうでもいいような気にさえなってくる。

    おれは、おれの隣で健やかな寝息を立てている娘の軀を離し、そっと天幕を出る。
    彼女の指先がいなくなったおれの身体をまさぐって宙に伸びている。
    彼女の栗色の髪が波のようにざわめいている。
    村で一番の器量よしで聡明な女だった。よそ者のおれに良くしてくれた。
    ありがとう。ほんとにありがとう。
    赤い月の下に、落河内の大カツラがそびえ、地上に影を落としていた。
    振り返り際に見た娘の細く白い肩に、赤い月の光が模様を描いた。

    あんたのこと愛してたよ、だけどね、あんたとはもう一緒にいられないんだ。
    この赤い月はおれたちヴァンパイヤのサインなんだよ。
    この月が現れたら、おれたちは戦わなければならないんだ。
    なんのためかなんてそんなことはどうでもいい。
    あんたら人間のために戦うんだなんてだいそれたこと思ってないから安心しなよ。
    ただ、今、おれの血はふつふつと煮えたぎっていて、おれのほんとに属するべきもののある場所にやっと行けるんだなって感慨で満たされようとしてるんだよ。
    たとえそこで死んだとしても、そこに赴く以外にすべはないんだよ。
    そして、それはとってもうれしいことなんだ。

    そんな物語もいつかあった。

    吸血鬼やら妖怪やら精霊やら、そんなものが息絶えて久しい夜だ。
    その娘も何人もの子を産んで息絶えた。
    その娘に咎があったわけではないだろうけど、人間だけがこうやって最後まで残ったのにも何かの理由があるんだろう。
    今はそんなふうに思うしかないのかもしれないよ・・。

    大樹は地上の枯れかけた根に静かに語りかけた。
    返事はなかった。

    「やれやれ、わたしの足元の友達ももう息絶えてしまったな、わたしが息絶えるのももう時間の問題なんじゃろうな」
    「確かにわたしはここからどこへも行けなかったかもしれないが、それにはそれで意味があったんだろう・・」

    風が吹き、雷が轟き、最後の人類の息も絶えた夜だった。

    ⇒落下内の大カツラ

    【注釈】久々にpirokichiさんの写真にinspireされました。
    これは鳥取県に有る樹齢は500年を越えると推定されている大桂だそうです。
    高さ40メートル、枝張り東西へ36.5メートル、南北へ35.6メートルにもおよぶ国内でも有数の巨木だそうです。
    ここに神が宿っていたとしても確かになんの不思議もなさそうですね。
    pirokichiさんの空間を切り取る力っていうのはほんとすごいですよね。感銘します。

    【注釈2】自分のblog調べてみると、pirokichiさんの写真を随分使わせて頂いてました。いつもいつも深謝です。

    遁走のblues

    • 2013.10.08 Tuesday
    • 15:22
    20130926-2
    逃げ出したい ここから
    逃げ出したい この世から

    逃げ出したい お前の胸から
    逃げ出したい このオレというクソ鬱陶しい存在(やから)から

    緞帳は上がり 日は昇るよ
    火は燃え盛り 汗は噴き出るよ

    よろめいても あわてふためいても
    castが代わっても ドラマは続くよ

    お前のいない世界でも
    お前のいない世界でも

    お前のいない世界でも やっぱり涙は流れるんだろうな
    お前のいない世界でも 寂しくってもちんちんは勃つんだろうな

    sleep modeでは足りないんだ
    いっその事 絶頂の瞬間に断首された古(いにしえ)の踊り子のように
    おれのコンセントをひっこ抜いてくれ 
    ぶちんと!ためらいなく!
    屹立したペニスを根本(ねもと)から引き抜くように

    逃げ出したい ここから
    逃げ出したい ここから

    お前のいない世界でも
    お前のいない世界でも
    おれのいない世界でも
    おれのいない世界でも







    玉置勉強先生の描かれる女の子は素敵だ。
    「ちゃりこちんぷい」という漫画を読んだ。

    彼女たちはブルースバンドを組んでいる。延々と続くリフにのって、マジックが生まれる。
    例えば、短歌で57577を繰り返していくみたいな。

    マジックをひきおこしたい!
    おれも!oulとsoundとlylicとrythmと言葉のマシンガンで!

    「ちゃりこちんぷい」は魔法の呪文だ。
     

    窓越しのサヨナラ

    • 2013.08.16 Friday
    • 18:49
     大切な人を
    大切だとしみじみ思えることは
    もしかしたらそんなにもう多くないのかもしれない

    でも
    心の中で
    大切の芽は知らないうちにも着実に育っていつしか花をつけ
    僕の心にはツタのようにきみの心が絡みついているんだ

    大切な人を
    大切に思うことだけが
    ホントに大切な人を大切にすることなんだろうか?

    そのヒトの前で
    自分のありのままの姿を見せることは
    もしかしたらけっこう卑怯なことなのかもしれないけど

    でもみてもらいたかった
    触れて欲しかった
    抱きしめてもらいたかった

    高い窓の外でも
    なぜかセミの雨はうるさいくらいで
    分厚いガラス越しに見える景色は
    遠い異国みたいで
    ずっと沖に浮かぶ貨物船まで視(み)えそうな気がした

    その裡側にぼくらふたりぼっち
    ぽつんと手を重ねて
    ただただ時の流れるままに

    大切な人と
    普通にあって普通に話して
    普通に口づけて普通に手を振って
    僕ら
    いつかそうできるのかな

    セミの雨が全てをかき消して
    また夏が逝くよ
    でもきみを失いかけた
    あの季節にはもう戻らない

    セミの雨が全てをかき消して
    また夏が逝っても

    窓越しのサヨナラのあと
    そう決めたんだ。

    シャガールのDNA

    • 2013.08.01 Thursday
    • 10:19
    miyuki1.jpg

     といったわけで、下手な似顔絵を描かせてもらっているわけだが、
    最近厚かましくもこちらからモデル要求を(婉曲的にですが・・)させてもらってることも結構ある。

    酔った時しか描かない絵なので、
    そりゃ時間を作って絵と向かい合うわけでもないので、酔っぱらった時にだけ湧き出るなんかマグマみたいなものでもあるんでしょうかねー。

    まあ一種の酒ハラ(?)といってもいいかもヽ(^。^)ノ

    シャガールのふくよかなお腹の裸婦を見た時、ああこれはオレの帰属する世界だと思いましたよ。
    そういえば手塚治虫先生の『火の鳥』に出てくる古代のキャラにもそんなのがありましたっけ。
    手塚先生の青年まんがをこのところまとめて読んでいるんですが、あれを個人ですべてやっているというのは今から思ってもやっぱり天才ですね。
    妙に読者に迎合するところがないんですよね。
    関係ないけど、松本零士先生の森雪さんは、新しいアニメ『2199』では今時の巨乳ちゃんになってるけど、やっぱり松本零士テイストは引き継いでいるように感じました。
    松本零士先生は本人の言われるように永遠に生きていて欲しいですね。
    あー永井豪先生も!

    まあ何が言いたいかというと、いろんなことが巡り巡って今日の自分を作っているというような、アタリマエのことなんですよね。

    おれの稚拙な絵の中にも、何人もの巨匠が眠ってて、その彼方にはもしかしたらマルク・シャガールがいるのかもしれないでしょ。
    その遥か彼方には、洞窟に絵を書いたネアンデルタール人の男がいるのかもしれないです。

    先日(もう先先日かな?)、とあるBarで。

    リアルで会うの2回めのかっこいい彼女と、たまたま隣り合わせした彼女も、ふたりともとっても素敵でした。
    たまたまの彼女なんて、あとでわかったのだけれど実は遠い友達を通じてつながっていたという偶然のような必然でもあったりするし、

    意気投合して昨晩一緒に飲んだ若者(39歳だからそう若いわけでもないけど、それでもオレとは一回り違うんだ!)は、その遠い友達の高校の同級生だったりするし、
    世の中ってほんと面白いです。

    そして、ほんと昨晩、またまたとあるBarで、偶然から必然のようになって会った素敵な彼女の絵も4枚書かせていただいたりしたりして、
    それを若者がドキュメント風に撮影してくれたりなんかして、
    なんかそんなふうに更けていく夜は愛し・哀し・いとおかし・・でしたよ。

    繰り返しますけど、この絵たちの中にも、もしかしたらシャガールのDNAも流れてるんじゃないかって、不遜にも思ったんですよね。

    不遜すぎる?
    かすってもないだろって?

    はいはい。

    collage.jpg

    念のため、右下は大シャガール先生の陶器ですんで!

    6月の戯言三首

    • 2013.06.04 Tuesday
    • 15:54
     悪夢で目覚めた。
    またnegativeにもってかれるところ。
    お前のできるたったちっぽけなんてどうでもイカの金玉なりなり、いやイカに金玉があるかどうかは別として。

    ブルーにこんがらがってあの娘は家を出たけれど、
    行くべきところがないのに帰る場所だけ残しとくのはそりゃ家出じゃないよと、
    知らないおっさんに訳知り顔の焼酎3杯で口説かれて、どうでもいい気になっていたものの、その酒臭い息に辟易して、ジョッキでおもいっきり殴ったら咲くわ咲くわの修羅の華。

    そりゃ夕方になったら、空の境界線がだんだん曖昧になっていって、気持ちも当然ブルーにはなるわな。
    そんな誰かさんの名付けたブルーと黒のグラデュエーションの谷間をどこからともなく上っては急降下する蝙蝠たちを眺めながら。
    あの時帰り道を失った時に後ろから聞こえてきたあの声は誰の声だったんだろうと振り返ると、
    泣いたままのガラスの仮面が割れる。

    「西行」の歌もわかんないけど好まほしくある。
    好まほしいというのが生きていく上では結構重要なことだろう、巡り巡ってみれば。
    だから好き嫌いって結構大切だよねと今更のように思う。
    まあそんなわけで、だいたい季語ってなんなのか何のために必要なのかわからないままに、6月の季語を用いた戯言三首をひねり出してみるわけだが。
    おれが「西行」だった頃、あの人はなんだったんだろう。
    あの人は屏風の陰で声をひそめて笑って泣いていた。
    どっちか一つにしてくださいよと言いたかったが、その自分自身だって笑いながら泣いていたんだよなもう。
    あの香炉からの香は今もおれの鼻腔にあってもっともっと奥深いものをくすぐり続けているのだ。
    何百年が過ぎても。
    吉野山で散る桜の下に立ったらその答えがわかるかもしれないけど、答えなど永遠にありはしないのだということも一方ではわかってはいるのだ。
    でも散る桜はまた月日がめぐって花をつけるし、花は華になって、あの人は微笑んで、そうやって時というものは誰かさんの名前みたいに悠久に流れてゆくものなのだろう。

    さみだるるこころを何処に流しけむ

    蛍狩かつては人を愛しちょう

    蝙蝠の夕闇深く分け入りつ

    railway song

    • 2013.05.30 Thursday
    • 14:00
    railway

     私たちの人生はいつまでたっても平行線
    線路の二本のレールが決して交わらないように
    そう彼女は言った

    そうかもしれないさ
    でもね レールの上を見てみなよ
    おれたちはみんなそいつの上を走る列車で産声をあげたんだ

    もうお別れの時間だ
    発車のベルが鳴る
    ドアが閉まりお前の口が開くのが見える
    手の中にはお前の作ってくれたランチのぬくもり

    列車に乗っていれば
    また別の線路の上で会うこともある
    たとえこのレールは平行線でも
    いつかまた別の線路の上で会えることもある

    もうお別れの時間だ
    聞こえないんだ なんて言ってるんだい
    もっと大きな声で もっと大きな声で おれもおまえに語りかければよかった
    手の中にはお前の作ってくれたランチのぬくもり

    --------------------------------------------------------------------

    「僕達急行 A列車で行こう」を観る。
    森田芳光監督のラスト作品だ。
    松山ケンイチが肩の力抜いて演技している。「平清盛」に入る前の映画だったと思う。いい。
    確かにヒトは消えても作品は残る、流れて流れて。消えゆくものも、残るものも。

    風来坊(pirokichi劇場その◆

    • 2013.02.09 Saturday
    • 14:53
    littlebuddha

     ほら、おれの墓碑銘に犬が後足でションベンかけてるぜ

    いやらしいやつだな
    ションベンのあとに、ご丁寧に肛門の筋肉ぴくぴくさせて糞までひりだして
    尻尾振って消えやがった

    ちくしょうめ

    隣の墓には花が絶えないってあの話な
    心配すんな、花は語らないぜ
    それならその隣の団子はどうだ
    そのまた先で 清酒のラベルが雨で剥がれかけてるよ
    くらべたらキリなんてないけど、どっちみち墓の中はからっぽだ
    逝っちまった魂はね 再び満たされることなんてないんだよ

    おれもあの娘も蘇ることなんて決してない

    空の真ん中で欠けた月が笑ってら
    風の回廊に座して、風琴の音色に身を任せよう

    笑ったもんの勝ちさ
    でも もうおれはここにはいない

    ここにあるのはただのお墓
    思い出なんてありゃしないただのマテリアル

    いいかよく聞け、
    ここは忘れられたものたちが、思い出された時にだけ蘇る
    そんな場所にしかすぎないんだよ
    だから おれたちの思い出に価値なんて見出してくれなくっていいよ

    おまえはもう帰んなよ
    待ってる女(ひと)のいる家(うち)へ

    暖かい灯と鍋からたちのぼる湯気とおでんのにおい
    あの娘の胸はさぞかしあったかいだろうよ
    あの娘を抱きしめて 
    あの娘をギュっと抱きしめて 世界で一番素敵なセリフを囁くのさ
    そこがお前のいる場所だ

    pirokichi劇場その
    彼の写真にinspireされる妄想をただただ自分は書き留めるのであった。)

    コヌカフルアメノゴトク・・・(2)

    • 2012.10.08 Monday
    • 16:21
    pirokichi4

     そうだ、夢見る頃を過ぎてもまだ生きている。
    だったら、夢をみるんじゃなくって夢になったらいいと、映画の中の人造人間が言っていた。

    おまえの人生の終焉が一体いつになるのか、たとえば神様が教えてやるよと言ったらどうする。
    おまえはそいつにうなづいて、頭を垂れて、その本物か偽物かわからない神様のご宣託に身を委ねるだろうか。
    あんさんは2年と半年後に死にまっせぇ、と、ビリケンさん顔の男が言ったとしたら。

    ある日、夕暮れの遊園地で、シルエットになった子供たちの顔が急にわからなくなった。
    呼びかけて振り返った子供がみんなのっぺらぼうだったら怖いので、おれは少しずつ後退りして、公園を出た。
    街の雑踏に紛れ込んだら幾分か気分が楽になった。
    おれの子供もあの中にいたのかもしれないのに、おれの家族もあの中にいたのかもしれないのに。

    おれは街の一部になって、息を潜めて生きている深海魚に戻れたんだ。
    そんな自分に安堵して、おれはそんな矮小な人間でしかないんだと少し哀しくもなったりした。
    でもね、それでいい、それでいいんだよ。
    バーに入って強い酒を5-6杯でもあおればすべては消えてゆくだろう。
    一体全体、こうやって酒をあおっているおれは、誰なんだろう。
    でもね、それでいい、そう、それでいいんだよ。

    おれはすこしずつ壊れていってるんだ。

    あの日、焼けたアスファルトの上で、高校に入ったばかりで少し遠方に通学し始めたおれは、暮れなずむ道で、ゆっくりと歩を進めていた。
    バッグを右手から左手に持ち替える。
    すれ違いざま、かぐわしい香水の匂いに顔を上げると、彼女がいたんだ。
    真っ赤なTシャツに揃いの口紅の女。
    白いパラソル、キャリーのついたバッグを引きずって、身体のラインを隠すような長いスカートを履いているのが、薄闇の中でもはっきりと分かった。

    久しぶり、こんなところで会えるなんてね、ここで会ったのもなにかの縁ね、
    そんなに怖がらなくってもいいわ、何も今更あなたを味わい尽くしても失われた時は戻ってこないものね、あの時はそうホントにふたりとも楽しかったわよね、
    ほら、今の私のえぐれたおっぱいを見たらいいわ、乳癌でね、こんなふうに私のおっぱいは切り取られてしまったのよ、
    ほら、ほらほら、これが見たかったんでしょ、
    ほら見せてあげるわ、ゆっくりじっくり見るといいわ。

    おれは目を背けられずに、伸びたTシャツの胸元からえぐれて瘢痕になった皮膚の引きつりと、そこにかつて存在したはずの乳房の痕をみた。
    彼女はいつのまにかおれの背後にまわり、おれの耳元でこうささやいたんだ。
    いつかあなたもすべてを失う日が来るんだよ、必ずね。
    でもね、すべてを失ったからっていっても人生はそう簡単には終わりにはなりはしないのさ。
    あなたの大事なものは奪われ、火を付けられ、それでもおまえは生きなくっちゃいけない、この私のようにね。

    気がつくと彼女はいない。
    ただ香水の微香がおれの鼻腔を犯し続けているだけだ。
    めっきり暗くなった夕闇の中で薄ら寒さの中で、おれは泣きそうな顔をして笑っている。

    あの日からもう何十年もが過ぎた。
    幾つもの死にあった。死んだヒトに何度か手を合わせ、心ではその何百倍も手を合わせている。
    浮かんでくる思い出もあるし、忘れてしまったこともたくさんある。
    薄情とは思わない。おれが死んだっておんなじことを思うからシンパイスンナ。

    おれの死に様は残念ながら分からないし、たとえ神様が教えてくれるといっても答えはNOだ。
    ただ、人間は後ろ向きではなく、前を向いてしか生きることができない生き物だとおれは信じている
    どうしてかって、そりゃ神様が人間をそういうふうに作ったからだろうよ。

    先生、あんたのこと好きだったよ。
    おれはあんたの嫌なところも、あの可愛い仕草も、残念ながら忘れることなんてできないよ。
    でもね、先生、おれはもう少し生きることにしたよ。
    そう選んでからももう何年かたったな。もう随分くたびれてはきてる。そしてちょっとずつ壊れている。
    そんな身体と魂だけど、もう少しね、いけるとこまで行こうと思うんだ。

    だから、また会ったらよろしく。その時はおっぱいとか触らせてもらえたらうれしいかもよ。


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