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  • 2014.04.04 Friday

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    「ナイン・ソウルズ」(2003) (ひとり『原田芳雄祭り』その5)

    • 2014.02.11 Tuesday
    • 10:11
    なんだか居ても立ってもいられなくなって、・・・そんな時が年に何回か訪れる。

    ヒトはおれのことを順風満帆のように言ってくださって、それはそれで非常にありがたいことなんだけど、居場所がないというか、なんというべきか、ナニに向かっていっていいのかわからなくなって、かと言っても、焦燥感でもない諦念でもない、そんな時があるのだ。
    こうやって患者さんをみて、医療行為をして、職員の給与のことやら昇給のことを考えたりして、そんなことの積み重ねでまた一年が過ぎてゆく。目の前から去ってゆく人、死んでゆくヒト、その先には将来の自分もかならずいる。自分のやっていることなんてなんか意味があるのか。世の中を変えるようなたぐいのものでも何でもない。それでいいのか、それで十分なんじゃないのか、いやいや・・。

    すみません。また原田芳雄さんにしがみついたりするわけです。

    そんなわけで、久々の「ナイン・ソウルズ」(2003)。
    (そんなトーンで見たので、ホントは「ひとり原田芳雄祭り」なんて盛り上がりにはなってないんだ、正確には・・)

    この映画は、公開されて9年経って、また2012年に再公開されたんだそうだ。

    9人の脱獄囚の一人ひとりの問題が、最後には、9人がひとつのファミリーであるみたいな話になって、最後まで開かれることのなかった(松田優作の息子の:ここで誰しもが、生前原田芳雄氏を兄と慕っていた優作のことを思わざるおえないという必然性があって、その息子である龍平が、奇しくも原田芳雄さん演じる息子殺しの男の対局にいる親殺しの役を演じるという、皮肉のような必然)松田龍平の世界に手が差し伸べられるというお話だ。

    原田芳雄が、脱獄犯のおとっあんとして、9人を結局は束ねていくんだけど、かと言って主役主役した役を張るわけでなく、主役でありながら脇を固めてるっていう、まあなんていうのかな、毒づきながらもいつもの芳雄節(演歌といっていいのかもしれんけど)を聞かせるお話。
    さり気なく娘役で松たか子さんも出てたりする。松たか子さんやっぱり個人的に好きだなあ。伊東美咲さんもストリッパーで、浅川マキの歌をバックに踊ったりして、レトロな感じだしてるしね。

    出口のない世界にいる松田龍平の立てこもったビルの外を、下手くそに青空と白い雲でペインティングされたバンが周回する。運転席で原田芳雄さんがぶっきらぼうに鳴らすクラクションの音が聴こえてくる。原田さん以外の8人はそこには居ない。ビルの一室、足元には自分がレンガで撲殺した弟の死骸が転がり、松田龍平の白いツナギは血で真っ赤に染まっている。クラクションが再び鳴り響く。おれを待ってる人がこの世界のどこかにいたんだ、松田龍平の目に涙が浮かぶ。
    原田さんは再びぶっきらぼうにクラクションを鳴らす。笑ったりしてない、泣いてもいない。

    死んだはずの男たちが、再び邂逅するはずのないはずmの男たちが、富士山の見える小学校の校庭に到着したバンから続々降りてくる。ナイン・ソウルズ。9個の魂。そして映画は途切れるように終わる。9人の魂は、帰結はどうであれ、どこかでつながったんだろう。

    キャプテン・バナナをあの世から呼ぼう!(「PARTY7」(2000)ひとり『原田芳雄祭り』 その4)

    • 2013.11.15 Friday
    • 12:53
    captainbanana

    キャプテン・バナナをあの世から呼ぼう!

    のぞき部屋で、黒の革のコスチュームにフルフェイス・バナナ・マスクの怪人、それがキャプテン・バナナだ。

    原田芳雄さん演ずるキャプテン・バナナと、浅野忠臣演ずる覗きの性癖の抜けない青年とが、
    意味があるよで全くないよな会話でエンドレスに絡み続ける、名作(迷作?)「PARTY7」!
    監督はあの石井克人さん(「茶の味」や「鮫肌男と桃尻女」や「スマグラー」)だ。

    芳雄さん、楽しんでるね~。
    それが伝わってくるだけでいい映画、これはね。

    「だからね、武智くん、おれはこののぞき道一筋でもう45年はやってきとるんだよ、キミみたいなひよっこにだね、うん、とやかく言われる筋合いはないんだよ」
    ドンと机をたたき、少し出来た手袋のシワを引っ張ってなおす。
    「キャプテン、手がなんか震えてますけど、気のせいですかね、それとちょっと細かすぎる仕草でしたね、今の」
    「きみぃ、これはね、これはだねぇ」
    もう片方の手で、小刻みに震えてるもう片方の手首を押さえる。
    「これはねぇいわば持病なんだよ、きみぃ、いや持病というよりは、私はだねぇ(声裏返る)」
    「・・・・・・」
    「キミはホントの健康たるもんがどんなもんかわかっとらんから、病気についても不完全燃焼なんだよ、いつだって、わかるか、わしの言っとることが!」
    「はあ、それはなんとなく・・」
    気まずい空気が流れる。お互いなんとなくうなだれる。
    「そもそもだよぉ、私がこのコスチュームのキャプテン・バナナになったのはだね・・」
    キャプテンが虚空を見ながら誰にでもなく語り始める。
    その芳雄さんのセリフのリズムに酔いしれながら、おれはいつの間にか、すべてがどうでもよくなっていることに気づく。

    でもね、そんなこたぁどうでもいいから少しはこのシャバに帰ってきてくださいよ、芳雄さん。
    ちらっとでいいんで。
    おれだって、この世界ってやつだって、もういっぱいいっぱいなんですから。
     

    ひとり『原田芳雄祭り』 その3 「無宿人御子神の丈吉(三部作)」と「8マン」

    • 2013.10.24 Thursday
    • 13:55
     ふと気づくともう原田芳雄さんの新作を見ることはできない。
    原田さんのあのもちっとした言い回しをTVで聞くことはない。
    ・・そう思うたびになんか寂しくなる。
    でも原田芳雄が与えてくれたものの何%が、今生きてるこのオレの何%かを作っているんだから、そう悲観することもない。
    ・・そう思い直して笑ってみる。やや口角の引きつった笑顔でね。
     
    1972-73に作られた、笹沢左保・原作の映画『無宿人御子神の丈吉』3部作だけど実は未完)を観る。
     
    どういういきさつか、映画は3作目(3作バタバタと短い期間で作られた事自体を喜ぼうではないか!)で終わってしまって、
    最後のアダ・国定忠治を討つというエンディングまでは至っていない。
    妻と子供を陵辱された上、惨殺され、カタギの生活から無宿人に戻った「御子神の丈吉」の怨念のドラマで、
    これが後の傑作「木枯し紋次郎」(どちらも原作は笹沢左保氏)につながったみたいなところもあるらしい。
    時代劇だということもあるけど、いま見ても全然古びていないのに驚き。
    いや、今見たほうがあの原田芳雄選手のぶっきらぼうさは理解しやすいのかもしれないな。
     
    映画版第1作『牙は引き裂いた』(1972)
    映画版第2作『川風に過去は流れた』(1972)
    映画版第3作『黄昏に閃光が翔んだ』(1973)
     
    観始めると結構短期間で見終えてしまって(1本90分くらいだし)、
    それで、原作の方を発作的に電子書籍で探して、最終巻のみBookliveでDLして読んだのだった。
    最終話『幻の太陽は沈んだ』では、いよいよ国定忠治との因縁の対決になるのだけれど、
    この話を映画にしたらどうなるんだろう・・と夢想しながら読むという邪道な楽しさ、を、味わったのだった。
     
    脳内エンドルフィンでっぱなしで、こういうのをホントの贅沢というのかもしれません。

    ふと、作者の桑田次郎の銃刀不法所持で中斷された、SF黎明期アニメの名作「8マン」を思い出した。
    あのアニメは確か白黒だったと思う。
    幼稚園時代、住んでいた東京の乃木坂のあの家で見たのだった。
    原作者の平井和正が、のちに、パロディ(?)でもなく、最終回をノベライズしていた。
    平井和正にとっても、シナリオライターを脱して小説家になるための分岐点でもあったドラマが「8マン」なんだけど、
    彼にとっても、最後をきっちり終わらせることができなかったのにはかなりの悔いが残っていたのだろう。
    そういえば、のちの「ウルフガイ」にも、あの池上遼一が作画を担当した日本版「スパイダーマン」(もちろん原作は平井和正)のプロットが幾つか流用されている。
     
    ネットでもこんなのが読める。
    エイトマンへの鎮魂歌(平井和正)
    この「8マン」と原田芳雄氏の「無宿人御子神の丈吉」がどうつながるか、同年代を生きたヒトでもないとわからないかもしれない。
    調べてみると、8マンが1965年で、この映画が1972年だ。
     
    (『御子神の丈吉』の小説の方の)最終話においても、
    妻と子の仇を討った丈吉が、これからどういきてゆくのかについて、作者である笹沢左保氏は語らない。
    8マンも、正体を知られてしまって探偵事務所にもよらず、どこにも還る場所を失って(いやそんなものなど最初からなかったのだ己の帰属する場所などどこにもありはしないのだと東八郎は言ったけど・・)雑踏の中に姿を消していったのだった。
    思い起こせば「鉄腕アトム」だって最後は太陽に飛び込んでいったではないか。
    あれが、人間のため、人類のためだったとはいえ、
    実はアトムはホッとしていたんじゃないのかな。
    彼にだって結局人間社会との共存は非常に困難なことだったのかもしれないじゃないか?
     
    何もかも、幻だったような気がする。
    そのための、空しさではないのか。
    丈吉は表情の動かない顔を、沈もうとしている太陽に向けた。視界にある色は、赤と黒だけであった。
    赤く染まった街道を、御子神の丈吉の黒いシルエットが遠ざかり、間もなく消えた。(完)
     
    どこにも安住の地がないと知っていて、そんな自分を持て余したまま去っていった二種類の男は、今頃一体どこを歩いているんだろう?
    「あっしには関わり合いのないことでござんす・・」そういいながらも、結局は関わり続けた男たちはいまなにを想っているんだろう。
     
    関わりは一方的なものにしか過ぎず、その関係性が現実味を帯びてきて、ぷちんと遮断されると、まるで虫けらでも捻り潰すように刃物をふりかざす、そんな昨今の事件たちを見ていても、もう了解なんて出来はしない。
    共感も否定も、入る余地さえも奪われて、闇にがんじがらめになっているのが現況だ。
    今のオレは。
     
    今日も日は落ち、おれは夜の街を徘徊する。
    無数の男たちと無数の女達。無数の灯りと無数の欲望。
    ♪あなた恋しい黄昏の松山HONKY・TONKブルース・・
    なんて口ずさみながらホロホロと歩くことくらいだろう、今のオレにはできることといえば。
     
    なんだかナミダが出てきちゃったよ。
    わかんねえな、わかんねえ、まったくわかんねえ。
     

    東京プレイボーイクラブ(2012) 〜ひとり『原田芳雄祭り』その2〜

    • 2013.05.04 Saturday
    • 10:55
     
    意外なことに、予想もしないうちに久々の

    ひとり『原田芳雄祭り』その1

    に続き、久々のひとり『原田芳雄祭り』その2となりましたよ。

    深謝。

    これが商業作品第1作という若干24歳の監督の作品だそうな。
    それなのに、それなのにだよ、これは「昭和」の香りプンプン。
    「竜二」とか「チ・ン・ピ・ラ」とか、なんかそんな匂い。

    途中で聞いたことあるイントロが流れて、原田芳雄さんの「ヨコハマ・ホンキートンク・ブルース」がフルでバックで流れた時には・・
    歓喜!!歓喜!!
    そのほかチャボのソロデビュー作からも「ONE NITE BLUES」(久里浜少年鑑別所からの脱獄を唄ったウタ!)が。
    とどめはエレカシの「パワー・イン・ザ・ワールド」!
    どうなってんだ、こっちの頭までがおかしくなってきたぞ。

    もんもん、ヤクザ、ラブホ、SM、キャバレー、暴力、死体処理は裸エプロンでのこぎりとで、いうアナクロニズムで固められた世界。

    「ヒミズ」で外道の父親を演じた光石研が、この作品では小市民的なチンピラを演じるのがまた妙。
    あれだけ外道でひとでなしの、中学生のスミダに「絶望」を与えた男がだよ!

    「ヒミズ」が、どうしようもない少年の絶望と、その「絶望」はなにも特別でもなく普通に転がっている類のもんだという生まれながらの「諦念」を描き出し、
    それでもせめて前を見れたらというpositivenessのドラマに帰結した(監督がさせた?)としたら、
    このオトナの社会を描く「東京プレイボーイクラブ」は、
    しょうがねえと言いながらも、あがき続けるしかない、もっともっと要領の悪い人間たちのどうしようもないドラマだった

    どちらが好きかと言われれば、黙してしまうけど、
    おれは大森南朋の「意地を売るほど俺はイモじゃねぇっ!!」というセリフをやっぱり愛してしまうな。

    昭和だね〜、しょうがねーな~、死んじゃうかもね、でもやるぜ。
    まさにエレカシの歌詞じゃないけど、順番を放棄しろ!出番は今だ!「戦い続けろ!かしこくなるな!」

    そして、そのpassionを、哀しみを背負ったまま演じたのが、原田芳雄さんが孤高のヒットマンを演じた「鬼火」っていう映画なんだと思うよ。

    「マジンガーZ」も「バイオレンスジャック」に登場するけど、バイオレンスジャックは原田芳雄がモデルだったかもしれない?

    • 2012.09.22 Saturday
    • 07:37
     【蛇足】原田芳雄とバイオレンスジャック

    永井豪の『バイオレンスジャック』には彼の作ったキャラが総出演するのが特徴なんだけど、
    マジンガーZも、盲目の黒人武闘家(ジム・マジンガー)として客演している。
    まあこの話はちょっとワキにそれた感じで、本来の『バイオレンスジャック』に多大な影響を及ぼすエピソードでもなかったのだが・・。

    その、「バイオレンスジャック」のモデルの一人がもしかしたら原田芳雄さんかもしれないという記事が・・。
    永井豪氏の画集「鬼と悪魔のFANTASY』に収録されたインタビューで、「・・すごく無口で野性味が強くてね、この雰囲気がいいなあとか」、語られているそうな。
    そういえばこの画像なんて、「浪人街」の立ち回りの時の顔だよなーとか、思わず見返しちゃったりして。
    なんか自分の大好きなもの2つがこういった線で思いがけずつながるのは、非常に嬉しいことでした。
    原田芳雄演じるバイオレンスジャック、おお、なんか、ゾクゾクしてこないか?

    で、「浪人街」に出てくる原田芳雄さんのあの鬼気迫る感じが、ジャックナイフを振り回して自分の腕で斬馬刀を受けるジャックと似ているなあと思った次第。

    violencejack2


    『奇跡』(2011)観る。

    • 2012.06.03 Sunday
    • 20:12
    kiseki

     九州新幹線全線開通にまつわる「少年たち」のロード・ムービーだ。

    あとで気づいたのだが、是枝監督(「空気人形」)の作品だったりする。

    拙ブログでも触れてた。
    『ペ・ドゥナの『空気人形』と吉野弘氏の『生命は』』http://ulalaulala.jugem.jp/?eid=1185

    脇を固める、大塚寧々とかオダギリジョー、樹木希林さんもいるじゃない。
    橋爪功さんの同僚役で、我らが原田芳雄さんも出ている。
    (まあそれで観たのだけれど・・)
    これはホント、原田芳雄さん、脇を固めたという出演なのだが、今となっては芳雄さんのあの声を聴いて歩いている後ろ姿を見られるだけでなんか感無量になってしまったのだった。
    それにしても、大塚寧々さんも夏川結衣さんも・・いやあ歳を重ねられましたねえ・・。
    子供らを歓待して、新幹線が見えるトンネルまで連れてってくれる、ひとのいい老夫婦のご婦人の方を、りりぃが演じてたけど、あの人は全くいい歳のとり方してました。

    案の定、新幹線がすれ違ったくらいでは『奇跡』は起きない。
    日常は連綿として続いていくことだろう。
    でも、そこに「意思」というベクトルが加わったことで、何かが変わるのかもしれない。
    もちろん変わりっこない可能性のほうが高いだろうけれど。
    「奇跡」とは、変えようとする・変わろうとする「意思」そのもののことなんだから。

    原田芳雄さんのliveLPとか写真集とかゆく春とか・・

    • 2012.04.13 Friday
    • 18:31
    評価:
    コメント:生きてるうちが花なんだぜ!

     原田芳雄さんのライブアルバムがある。
    2枚組LPでもちろんCD化されていない。
    奇しくも原田芳雄さんは2月29日生まれだ。だから文字通り言うと4年に1歳しか歳をとらないそうだ。
    それで芳雄さんの17th*4の『バースデイライブ』が開かれて、その2008年の時の様子が写真集となってリリースされた。
    没後、唯一のエッセイ集『B級パラダイス』も復刊されたが、これはあくまで復刊だから例外だ。
    この写真集は最近(晩年とか言うと失礼だな)の芳雄さんを切り取った貴重なものだ。
    そのあとがきに意味深なことが書かれていた。

    なぜ自分が再び音楽にのめり込んでいったのかについて、ちょっと意識朦朧の芳雄さんが走り書きしたメモみたいな文章。
    それにはこんなふうに書かれている。

    僕自身は中砂という人間に過剰な憧れを
    単に破滅寸前まで批評も無く突っ込んで
    いっただけ迷い人同然でした。四十にして。
    そこでしばらくは映画から遠いところにいって遊び暮らしてみようと思いました。

    (2011年6月、病床にて。やや混濁した状態の中で)

    鈴木清順の『ツィゴイネルワイゼン』は全く難解な映画だった。
    でも京都で大学浪人してる自分にとってのフェイバリットな映画だった(そんな事ばっかしてるから2浪するんですけど・・)。
    名画座に、清順監督と、大楠道代さんと原田芳雄さんが舞台挨拶に来られるというので観にいった。
    ボサボサの長髪でまさに原田芳雄そのものだったけど、なんか誰とも視線をあわさずシャイに喋られていたのが印象的だった。

    その映画で原田芳雄さんが扮したのが、まさに中砂という男だったのだ。

    この写真集を手にいれて、どんなシチュエーションで聴くのがふさわしいだろうかといろいろ考えた。
    そして、家の棚で眠っているカセットテープのことを思い出したのだ。
    1982年10月7・8・9日の渋谷パルコ・part3でのライブ音源を収めたLP2枚組。
    バックは、元キャロルのリード・ギタリスト内海利勝とダウン・タウン・ブギウギ・バンドの初代ギタリストだった蜂谷吉泰らから成るサッキングルージュだ。

    カセットデッキにセットして、PLAYボタンを押す。
    しょっぱなから『B級パラダイス』だ。
    歌詞変えて、今夜は飲むぜぇ〜♫と歌ってる。それだけでかっこいい。

    それで重い腰を上げて、カセット音源をデジタル化してCDRにしようと思いたつ。
    まあそんなこんなでかなり奮闘した。

    ソフトは『デジ造 匠』、付属ソフトはDIGIONSOUND5。
    それにしてもなんでこんなにめんどくさいの!

    haradalive02

    Side. A
    01. B級パラダイス
    02. 横浜ホンキートンク・ブルース
    03. センチメンタル・ボクサー
    04. 10$の天使

    Side. B
    01. ジンハウス・ブルース
    02. Get Out Of My Life Woman
    03. 山猫スト
    04. ブルースで死にな

    Side. C
    01. Going Down
    02. マッカーサーのサングラス
    03. Every Night Woman
    04. When A Man Loves A Woman

    Side. D
    01. ショートピースとハイボール
    02. レイジー・レディー・ブルース
    03. I Saw Blues 〜 Ending

    haradalive01

    寝る前に、
    つれづれなるまゝに、日くらし、硯(スズリ)にむかひて、心に移りゆくよしなし事(ゴト)を、そこはかとなく書きつくれば、 
    ・・じゃないけど、なんとなくiPadの画面を指でなぞっていると、若い日の原田芳雄さんの絵が出現していた。
    分かる人にはわかるだろうけど、長髪・黒のサングラス・バンダナ巻いてブルース唄ってた汗くさい頃だ。
    まあ原田芳雄さんの一般的イメージはマッチョだから、年中汗臭いといえばそうなのだけれど。

    ■写真集のreview

    原田芳雄さんのBirhday liveを切り取った写真集が、没後上梓された。
    写真集の中で、芳雄さんが唄って踊って、あの野太くってそれでいてシャイで繊細な声で、ジョーク言ってるのが聞こえてきそうな、そんな本だ。
    いい本だ。作った人の愛に満ちている。

    それで思い立って、自宅で、カセットテープから『原田芳雄LIVE』(1982)(原盤は2枚組のLPでCD化されていない)をデジタルに変換して聴いている。
    その中で、たとえば、
    『春は嫌だねしんと寒いよ、誰かいるなら電話をくれよ・・』(『ブルースで死にな』)と芳雄さんは歌っている。

    昨日は午前中は土砂降りの雨だった。
    その大雨で、あんなにも咲き誇っていた桜は一瞬にして散ったという話だ。

    本の最後に、原田家の桜の写真が写っている。
    桜の横にはニットキャップをかぶった芳雄さんが座っている。
    今年、その桜の横にはもう芳雄さんはいないんだと思った。それがリアル。

    いろんなことがあってそれは過去になってゆく。でも過去に埋没させてはいけないこともたくさんある。

    桜の花は来年も花を咲かせるだろう。芳雄さんがいなくっても、自分がこの世から消え去っても。

    原田さんの音源がいろいろ復刻されて、例えばこの写真集を見ながら、バーボン傍らにして音楽聴いて、それらを肴に桜を愛でることができたら至福だと・・思わないかい?

    原田芳雄さんの『出張』放映と、『B級パラダイス』復刻!

    • 2011.11.06 Sunday
    • 11:16
    評価:
    コメント:おれの昨日を少しだけ、全部昨日になってしまいましたね、芳雄さん。

     CATVの『日本映画チャンネル』で、原田芳雄自薦傑作選ちゅうの7月からやってたんですよ。うかつでした。
    そのセレクトで『出張』も放映されるんですと(えらい高値になってたよDVD)。このマイナー映画も芳雄さんの自薦ちゅうことは、愛着あったんだなあ。
    大鹿村でもやった盟友・石橋蓮司さんとの共演です。
    それから、エッセイ『B級パラダイス』の復刻版も出ました。こちらもオークションではえらい値段でした。自分も手にいれたの古本だったし。
    本日の朝日新聞の書評欄にも取り上げられてました。
    あとは音源の復刻を望むべくだけど、
    ホントは強いて云うなら、原田芳雄さんがひょっこり還ってくることかな。
    おお、いかんいかん、寝過ぎちゃったよ、とか言ってね。
    「個人的なことで申し訳ないんですけど、なんかおれの時も結構止まりがちなんすよ、芳雄さん。他人に頼ってもイカンのは分かるんですけど、なんとかならんでしょうかねぇ。」
    「お前さぁ、だからお前のそうゆうところが一番イカンのでしょうがぁ(と語尾を上げて)、なんべん言ったらわかるの。おら。おらおら!」
    「はい。」

    nothing but blues,yeah.

    『鬼火』(1997) ひとり『原田芳雄祭り』その1

    • 2011.08.23 Tuesday
    • 12:54


    一人『原田芳雄祭り』!のはじまりだ。

    まず、芳雄さんが、かつて極道社会で「火の玉」と恐れられ27年のムショ勤めを終えてシャバに出てきたヒットマン国広法康を演じた『鬼火』
    DVDはもう廃盤だ。NHK-BSで録画してたテープを探しだす。
    望月六郎監督作品。1997年だ。

    この個人的『原田芳雄祭り』のルールとして、
    掟破りの、原田芳雄=役を演ずる人物そのもの、とみなして書き綴ってゆく方針とする。
    つまり原田芳雄さんがヒットマン国広法康を演じるのではなく、原田芳雄=ヒットマン・国広法康なのだ。
    勝手なルールだけど、これから自分はそうやって芳雄さんの映画を再発見していこうと思ったのだ。
    だって、遺作『大鹿村騒動記』は、原田芳雄さんが、自分の映画つくりに対するビジョンとか己の人生への夢そのものを具現しようとした映画だったんだから。
    「仇も恨も是まで是まで」というセリフがそいつを語っていた(自分には『是まで』なんてまだまだ言えないけど!!)じゃないか。

    で、『鬼火』。
    芳雄さん(国広)は、古本屋で『風の又三郎』を購入する。
    180万円頂戴します。釣りはとっといてや、それで豪邸でも建てて・・

    どっどど どどうど どどうど どどう・・
    青いくるみも吹きとばせ
    すっぱいかりんも吹きとばせ
    どっどど どどうど どどうど どどう・・

    田んぼを揺らす風、自分が殺した男の墓参りをするう芳雄さんの背後で青い穂が風に揺れている、冒頭のシーン。

    どっどど どどうど どどうど どどう・・

    風は吹いている、ヒトに意思なんて知らずに。
    でも、ヒトは意味があって人を殺す、そうヒットマンの芳雄さんは女(片岡礼子)に教える。
    「意味がなくて殺すのではなく、意味があって殺すんです」と、
    銃を向けたその前の地面に寝転がってあどけない視線を向ける犬を撃てない彼女に向かって。
    それでも、芳雄さんの心の底では鬼火がチロチロ燃えて、
    それを風が揺らす。心の底の炎を揺らす。

    どっどど どどうど どどうど どどう・・

    ラスト、男を二人撃ち殺して、護送されてゆく芳雄さん。
    後部座席に当たる弾ける取材陣のフラッシュ。
    手錠をかけられたまま、芳雄さんは顔だけ後ろを向け、手で銃の形にして構える。
    そのまんまの表情で。
    内田裕也のファッキンな表情でもなく、萩原健一のアナーキーな顔でもなく、松田優作の幽鬼でもなく、原田芳雄の顔で。
    それ以上でもそれ以下でもない、原田芳雄の顔で。

    風はまだやまず、窓ガラスは雨つぶのために曇りながら、またがたがた鳴りました。

    (『風の又三郎』より)

    【追加】
    片岡礼子さんが素晴らしい。
    原田芳雄さんと同等かそれ以上の存在感だ。哀しくも美しいラブシーン。小学校の体育館でのピアノ演奏と、その後のプールの幻想的なシーン。
    枚挙すればきりがない。
    そして、奥田瑛二や哀川翔も。
    しかしここで彼らを語ることは本題から外れるので、是非何らかの手段で映像を味わって欲しいと思う。
    この映画はもしヤクザ映画というククリがあるなら、自分の中では『竜二』と双璧をなす映画でもあるから。

    片岡礼子さんのラブシーンもありました(R18(笑))。

    評価:
    コメント:ヤクザモノでは晩年の傑作です。

    『大鹿村騒動記』を観る。主題歌はキヨシローが唄ってた。

    • 2011.07.22 Friday
    • 18:12

     『大鹿村騒動記』、題字を書かれたのも原田芳雄さんである。

    さて、前夜、やっぱり芳雄さんと云えばバーボンだろうと、オリオン生ビールと泡盛で始まった酒宴は、ジム・ビームのロックでもってそのピッチと加速度をますますアップさせたのだった。

    それでもって、カラオケに1曲しかない『横浜ホンキートンクブルース』をセレクトして、

    酒を呑むならぁオリジナルジョーンズなんてぇ♪
    革ジャン羽織ってホロホロと 浮かぶ涙はブルースの色ぉ
    例えばブルースなんて聞きたい夜は松山ホンキートンクblues oh yeah♫ とか高級クラブで支離滅裂に唄ったのだった。

    が、

    案の定というか、気が付いたら家の玄関で寝ていて、目が覚めた。背中が痛く、時計は6時を指していた。

    この『大鹿村騒動記』はたったの2週間で撮影されたという。
    なんかきっと芳雄さんのことだからその場で創り上げて、共演の手練たちとドラマを作り込んでいったのだろうけど、
    そしてその結果は必ずしも100点とは出てはいないところも見受けられたし、
    この映画が俳優『原田芳雄』のベスト作とも言えないだろうけれど、
    きっと生きていれば、また次の遊びを現場に求めて、新しい映画にjoinするんだったんだろうけど、

    「仇も恨も是まで是まで」というセリフには泣けました。

    そしてそのセリフは、自分の中で、
    最後のコンサートツアーの半ばでリタイアした感じになってる吉田拓郎氏の『唇をかみしめて』を思い出させたりもしました。

    > 裁くも裁かんも 空に任したんヨォ
    > 選ぶも選ばれんもぉ 風に任したんヨォ
    > 行くんもとどまるんも それぞれの道なんヨォ

    > 人が生きとるね 人がそこで生きとるねぇ
    > 人がおるんよね 人がそこにおるんよねぇ

    大鹿村に春が来る、大鹿村に夏が来る、大鹿村に秋が来て300年の伝統の歌舞伎が今年も開かれる、大鹿村に冬が来て、人々は来年の歌舞伎に向けて仕込みを始める。

    300年はそうしてあっという間に過ぎて、しかし、血は脈々と受け継がれていくのだろう。って。

    夏目漱石の『夢十夜』にもあったよな。

    すると石の下から斜(はす)に自分の方へ向いて青い茎が伸びて来た。
    見る間に長くなってちょうど自分の胸のあたりまで来て留まった。と思うと、すらりと揺らぐ茎の頂きに、心持首を傾ぶけていた細長い一輪の蕾が、ふっくらと弁(はなびら)を開いた。
    真白な百合が鼻の先で骨に徹(こた)えるほど匂った。そこへ遥かの上から、ぽたりと露が落ちたので、花は自分の重みでふらふらと動いた。
    自分は首を前へ出して冷たい露の滴(した)たる、白い花弁(はなびら)に接吻した。自分が百合から顔を離す拍子に思わず、遠い空を見たら、暁の星がたった一つ瞬(またた)いていた。
    「百年はもう来ていたんだな」とこの時始めて気がついた。 (第一夜)

    だから原田芳雄選手、ゆっくり休んでくださいね。71歳。グッドラック。そしてサンクス。

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