うたかたの泡のごとく、日々は、勢いつけたかと思いつまたしぼんでゆく。
うたかたの泡の如き東京DAYS。
永遠につづくかと思った休日は1日で終り、また日常に帰還してきた。
それでいいのだとと思いつつも後ろ髪を引かれたりもしている。
銀座の老舗ビヤホール「ライオン」で昼間っからおっさん二人、ゆっくりした時間軸で杯を重ねる。
外は晴れやかな銀座のホコテンなのに、店の中は薄暗く、そこでは別の時間が流れてゆく。
会話が途切れ、二人の間に、なんていうのかな、生きてきた時間分だけの「澱」のような何かが流れるのが見える。そしてそれは決して悪いことではない。
こうやって生きてきたことがすべて「死」で消えるのは怖いという人がいて、
人生の「営為」が、生きながら死ぬことで「無為」に帰すのが怖いという人がいて、
もしかしたら二人は一緒のことを違う見方で言ってるだけなのかもしれませんよね。
杯を重ね、肉を喰らい、ビールはもういいやと、ウーロンハイを飲み続ける。
12時過ぎにはいった我々の周りも、やがて人であふれる。
ひとり、カップル、家族、外人、なんてステキな都会の昼下がり。
ここではみんなが各々の時間を持ち寄って過ごすのだ。
そして、ふらふら歩いて辿り着いたのが、アメリカンなウエイトレスさんたちの待ち構えている「フーターズ銀座」。
慣れるまでしばしの時間を要するが、なんて言うのかな、オレンジ基調の女の子たちが日常的に動きまわってる店内は、日曜のせいかフラのショーも行われ、アメリカンサイズのカクテルでめまいのような酔いのような、ろれつの回らない舌がさらにもつれて、おっさんは、本気で四国の田舎に「フーターズ」を誘致する方法をひねったりするのだった。
でも始まったものにはすべからく終りがあるように、
そんな天国東京DAYSは終わりを告げ、
自分はタクシーに乗り込み、大都会を後にする。
死んでしまったルー・リードの「ワイルドサイドを歩け」とそっくりな甲斐バンドの「新宿」を思い出しながら湾岸に屹立した建築中のマンションを眺めたりしながら。
「オリンピックのせいで、こんな辺鄙な土地のマンションでも1億超えるって話ですよ」
これまた甲斐よしひろが若い頃に書いた「東京の一夜」という曲、
♬東京の一夜はこの街で暮らす一年のよう
♬東京の一夜はあなたの顔から微笑みさえ消してしまう・・
なんてえのをこれ見よがしに思い出したりして、いじましいね。おいら。